AIスキルを学ぶ前にやるキャリアの棚卸し——学ぶ分野を間違えないための5ステップ
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AIに置いていかれる気がして学び直しを決めたのに、講座の比較記事を読むほど「何を学ぶか」が決められなくなる——そんな状態が3か月以上続いていないでしょうか。決められないのは意志が弱いからではなく、手元の材料が「講座側の情報」に偏っていて、「自分側の情報」が言語化されていないからです。そして迷っている間も職場は動きます。労働政策研究・研修機構(JILPT)の2024年調査では、働く人の55.6%が「今後10年以内に職場でAI活用が進む」と見込んでいます。この記事では、学ぶ分野を決める前にやるキャリアの棚卸しを、厚生労働省の公式様式も使いながら5つのステップに分解します。
学ぶ分野は講座から選ばず、職務経歴の棚卸しから逆算します。経験を書き出し、AIで変わる部分を仕分け、3年後の働き方3案から必要なスキルを割り出す順番です。
- 棚卸しには厚生労働省の「ジョブ・カード」様式が使えます(マイジョブ・カードで無料)
- 順番は、経験の言語化→AI影響の仕分け→3年後の3案→スキル逆算→壁打ちの5ステップ
- 今日やることは、職務経歴を「起こした変化」で10個書き出すことだけです
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「何を学ぶか」が決まらないのは、現在地の言語化が足りないから
3か月以上迷っているなら、足りないのは講座の比較情報ではなく、自分のキャリアの現在地を言葉にした材料です。実際、動けていないのはあなただけではありません。JILPTの調査シリーズNo.256(2024年5〜6月実査・雇用者約2.2万人)では、2023年に学び直しを実施した人は27.1%、うちAI関連を学んだ人は6.9%にとどまります。
不安の根っこにあるのは「自分の仕事はAIでなくなるのか」という問いでしょう。国際労働機関(ILO)が2025年5月に公表した研究では、世界の雇用の約4分の1(24%)が生成AIの影響を受けうる(exposure)とされています。ただしILO自身が、生成AIが人間の雇用を完全に代替する可能性はほぼなく、最も起こりやすいのは仕事の「変容」だと留保をつけています。つまり考えるべきは「自分の職業が消えるか」ではなく、「自分の職務のどの部分が変わるか」です。この問いに答えるための手順が、次の5ステップです。
- 職務経歴を「起こした変化」で書き出す
- 業務をAIで置き換わる部分・残る部分に仕分ける
- 3年後の働き方を3案つくる
- 3案からスキルを逆算し、学習の優先順位を決める
- 一人で決めきれないときの壁打ち相手を使い分ける
ステップ1: 職務経歴を「作業」ではなく「起こした変化」で書き出す
最初の作業は、これまでの仕事を「何をしたか」ではなく「何を変えたか」で書き出すことです。「資料を作成した」ではなく「会議の準備時間を減らす資料の型をつくった」。作業の名前は他の人と入れ替え可能ですが、起こした変化はあなた固有の実績であり、後のステップでAIとの分担や転職市場での強みを考える材料になります。
ゼロから様式を考える必要はありません。ジョブ・カードは厚生労働省が様式を定めるツールで、公式サイトにも「職業経験の棚卸し」に活用すると明記されています。様式2「職務経歴シート」がこのステップにそのまま使え、厚労省運営の「マイジョブ・カード」サイトなら無料でデジタル作成・保存ができ、記入例や自己診断ツールも揃っています。まずは正確さより網羅を優先して、10個を目安に書き出してみてください。
ステップ2: 業務を「AIで置き換わる部分」と「残る部分」に仕分ける
次に、書き出した職務経歴を自分の職務単位で仕分けます。「営業は安泰」「事務は危ない」のような職業単位の一般論は、ここでは役に立ちません。先ほどのILOの研究でも、影響度が高いとされたのはデータ入力事務員・会計事務員などの事務系職種ですが、それも「代替」ではなく「変容の可能性が高い」という意味です。同じ職業でも、定型的な処理は変わりやすく、判断・調整・関係構築は人に残りやすい——この粒度で自分の業務を見る必要があります。
やり方は単純で、ステップ1で書き出した各項目に「定型・反復」「判断・調整」「関係構築」の3つのラベルを付けるだけです(編集部の手順論です)。焦る必要はありません。JILPTの同じ調査では、職場でAIが使われている労働者は12.9%、本人が生成AIを利用している人は6.4%(2024年5〜6月時点)で、導入はまだ途上です。準備の時間はあります。
ステップ3: 3年後の働き方を3案つくる——現職深化・社内異動・転職
仕分けができたら、3年後の働き方を1案に絞らず3案つくります。1案しかないと、その案の粗が見えた瞬間にまた止まってしまうからです。
1つ目は現職深化。「人に残る部分」を軸に、AIを使う側に回って今のポジションを深める案です。2つ目は社内異動。今の会社の業務知識を持ったまま、AI活用を主導する部署や企画側に動く案です。3つ目は転職。棚卸しで見えた強みを、高く評価してくれる別の環境に持ち出す案です。エンジニア転職への意思がすでに固いなら、棚卸しと並行して未経験からのAIエンジニア転職ルートを整理した記事を読み、転職特化の面談で市場からの見え方を確かめるほうが早く進みます。自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】![]()
3案は「どれかを捨てる」ための作業ではなく、次のステップで学ぶものを比べるための物差しです。
ステップ4: 3案それぞれに必要なスキルを逆算し、学習の優先順位を決める
学ぶ分野は、3案それぞれに「3年後そうなっているために必要なスキル」を書き出し、複数の案に重なって登場するものから優先します。重なるスキルは、どの未来を選んでも回収できる投資だからです。逆に、1つの案にしか効かないスキルは、その案の確度が上がってから着手すれば間に合います。
ここまで来ると、講座の比較記事の読み方が変わっているはずです。「良さそうな講座」を探すのではなく、「自分の3案に重なるスキルを扱う講座」だけを見ればよくなります。分野をさらに絞り込む判断基準は、40代のリスキリングで何を学ぶべきかを3基準で整理した記事が使えます。
ステップ5: 一人で決めきれないときの壁打ち相手を使い分ける
5ステップを一人で完走できないときは、壁打ち相手を目的で使い分けます。相談先はおおむね3種類あり、収益構造が違うため相談の建て付けも異なります(この三分類は編集部の整理です)。
| 相談先 | 費用の建て付け | 向いている段階 |
|---|---|---|
| キャリアコーチング | 本人が支払う。求人紹介なし | 現職残留も含めて方向を決めたい段階 |
| 転職エージェント | 無料。収益は採用企業からの紹介手数料(職業安定法上、求職者からの手数料徴収は原則不可) | 転職の意思が固まり、求人を見たい段階 |
| 講座の無料カウンセリング | 無料。収益源は講座受講料 | 学ぶ分野が決まり、受講判断をしたい段階 |
順番としては、まず無料の公的窓口から使えます。厚労省委託の「キャリア形成・リスキリング支援センター」は全国47都道府県に拠点があり、在職中でも無料でジョブ・カードを使ったキャリアコンサルティングを受けられます。そのうえで「期限を切って伴走してほしい」と感じたら、有料のキャリアコーチングを検討する順番が、お金の面でも安全です。
有料の例を正直に挙げると、キャリパトは公式サイトによると(2026年7月25日時点・税込)キャリア戦略設計プログラムが330,000円・90日間・セッション5回、別途入会金55,000円です。安くはなく、キャリアコーチングは教育訓練給付の対象外が原則です。一方で、無料相談と0円の動画学習コースも用意されています(無料相談の適用条件など詳細は公式サイトでご確認ください)。なお、すでに3案が1つに絞れて求人を見たい段階の人にコーチングは不要で、転職エージェントに直行するほうが早く費用もかかりません。仕組みの詳細はキャリアコーチングとは何かを整理した記事をどうぞ。
よくある質問
キャリアの棚卸しは何から始めればいいですか?
職務経歴を「何をしたか」ではなく「何を変えたか」の形で10個書き出すことから始めます。様式は自作しなくても、厚生労働省運営の「マイジョブ・カード」サイトで職務経歴シートを無料で作成でき、記入例や自己診断ツールも使えます。正確さより網羅を優先するのがコツです。
AIに仕事を奪われるか不安なとき、誰に相談すればいいですか?
まずは無料の公的窓口が使えます。厚労省委託のキャリア形成・リスキリング支援センターは全国47都道府県に拠点があり、在職中でも無料でキャリアコンサルティングを受けられます。期限を切ってマンツーマンで伴走してほしい場合に、有料キャリアコーチングの無料相談を検討する順番が安全です。
キャリアコーチングと転職エージェントはどう違いますか?
お金を払う人が違います。エージェントは採用企業からの紹介手数料が収益で、求職者は無料な代わりに提案が転職前提に寄りやすい構造です。コーチングは本人が料金を支払い、求人紹介はなく、現職に残る選択も含めて相談できます。無料である理由と提案の性質はセットで考えるのが確実です。
次の一手
3か月動けなかったのは、怠けていたからではありません。自分側の材料がないまま講座を比べるという、答えの出ない作業をしていただけです。材料さえ揃えば、比較は短時間で終わります。
今日やることは1つで構いません。マイジョブ・カードを開いて、職務経歴を「起こした変化」で3行だけ書く。それが5ステップの1歩目です。そして、一人で完走できるか不安なら、壁打ち相手をいつ確保するかだけ今日決めてしまいましょう。キャリパトには申込前の無料相談の導線と0円の動画学習コースがあり、有料プログラムの判断はその先で構いません(無料相談の適用条件など詳細は公式サイトでご確認ください)。キャリパト公式サイトで無料相談を確認する


