老人ホームの費用相場はいくら?月額の内訳と親の年金の範囲で探す方法
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老人ホームのパンフレットを開いても、「結局、毎月いくら払うのか」「親の年金で足りるのか」が分からない。分からないまま候補だけ増えていく——施設探しでいちばん消耗するのは、この状態が続くことです。この記事では、月額費用の内訳、入居一時金の仕組み、施設の種類ごとの費用の幅を公的資料と調査データで整理し、親の年金・貯蓄の範囲で予算を決める手順までお渡しします。読み終わったとき、「次に確認すること」が決まっている状態を目指します。
「うちに払えるのか」が分からないまま調べるのが一番つらい
施設の費用を調べ始めると、親の通帳や年金額に踏み込むことになります。「親のお金を勝手に数えているようで気が引ける」という声は、編集部にも多く届きます。ですが、お金の確認を先にすることは冷たいことではありません。むしろ、途中で払えなくなって住み替えを迫られる事態を避けるための、介護を続けるための準備です。
もうひとつ先にお伝えしたいのは、広告で見かける金額に驚く必要はない、ということです。老人ホームの費用は施設の種類と地域で大きく異なり、「平均」は一部の高額な施設に引っ張られがちです。実際の数字は、このあと幅で見ていきます。
月額費用の内訳:居住費・食費・介護保険自己負担・上乗せサービス
月々の支払いは、おおむね次の4つでできています(出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。
- 居住費:部屋代。特養などの介護保険施設では国が「基準費用額」を定めており、たとえば多床室の居住費は日額855円です(2026年時点。直近では令和6年8月に見直しがあり、今後も改定されることがあります)
- 食費:1日3食分。こちらも介護保険施設では基準費用額があります
- 介護保険サービスの自己負担:65歳以上は所得に応じて費用の1〜3割を負担します
- 日常生活費・上乗せサービス:理美容代やおむつ代、施設独自の追加サービスなど
負担を軽くする制度も2つ押さえておいてください。ひとつは補足給付(負担限度額認定)。世帯全員(世帯分離した配偶者を含む)が市町村民税非課税などの条件を満たすと、介護保険施設の居住費・食費が負担限度額まで軽減されます。もうひとつは高額介護サービス費。介護保険の自己負担が月の上限額(一般的な課税世帯で44,400円)を超えた分は、申請すると払い戻されます。ただしこの制度の対象は介護保険の自己負担部分だけで、居住費・食費・日常生活費には適用されません。「上限があるから月々は安く済む」と読み違えやすいところなので、ご注意ください。
入居一時金とは何か——ゼロ円プランとの損益分岐の考え方
民間の有料老人ホームでは、月額とは別に「入居一時金」を求められることがあります。これは家賃の一部を前払いする仕組みです。LIFULL介護の独自調査によると、介護付き有料老人ホームの入居一時金は平均で約574万円ですが、中央値は60万円。0円から2,400万円超まで幅が非常に大きく、平均額は一部の高額施設に引き上げられています。「574万円」を見て諦める必要はありません。
多くの施設には「一時金0円プラン」もあります。ただし0円プランは月額が高めに設計されており、長く入居するほど総額では前払い方式より高くつく可能性があります。どちらが得かは想定する入居期間によって変わるため、見学時には「一時金ありと0円プラン、それぞれの月額と総額の試算」を施設に出してもらうのが確実です。
施設種類別の費用レンジ早見表
種類ごとの費用感を一覧にします。公的施設(特養)の金額は厚労省の基準に基づく目安、民間施設は民間ポータルの独自調査による相場で、地域・施設により幅があります。
| 施設の種類 | 初期費用の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(多床室) | なし | 8.6万〜9.4万円 |
| 特別養護老人ホーム(従来型個室) | なし | 9.6万〜10.4万円 |
| 特別養護老人ホーム(ユニット型個室) | なし | 12.3万〜13.1万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 中央値60万円(0〜2,400万円超) | 中央値23.1万円・平均約28.9万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 平均約51万円(0円の施設も多い) | 約14万〜17万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 敷金程度(約20万〜25万円) | 15万〜16万円前後 |
特養は費用面で有力ですが、入所は原則65歳以上・要介護3以上で、地域によっては待機もあります。なお、親御さんの要介護度がどうなるか、どの介護度でどの施設が適するかといった判断は、この記事では扱いません。担当のケアマネジャー、まだいない場合はお住まいの地域包括支援センターに相談してください。施設の種類そのものの違いは老人ホーム8種類の違い早見表で整理しています。
親の年金・貯蓄の範囲で考える手順ときょうだい間のお金の話し合い
予算は次の順番で決めると迷いません。
- 親の年金の手取り月額を確認する:年金振込通知書か通帳の振込額で分かります
- 貯蓄から毎月いくらまで取り崩せるかを決める:貯蓄額を想定入居年数で割り、無理のない上乗せ額を出します
- 軽減制度の対象になるか確認する:補足給付・高額介護サービス費の該当可否を市区町村の窓口で確認します
- それでも足りない分を、きょうだいでどう分けるか先に話す:施設を決めてからお金の話をすると揉めやすくなります。順番を逆にしないことが大切です
きょうだいにお金の話を切り出すのは気が重いものです。ただ、多くのご家族が同じところでつまずきます。「誰がいくら出すか」ではなく「親の年金と貯蓄でどこまで賄えるか」から共有すると、負担の押し付け合いになりにくくなります。
予算が決まったら:条件に合う施設の探し方へ
月額の上限が決まれば、施設探しは一気に現実的になります。自分で検索ポータルを回る方法もありますが、老人ホーム紹介サービスの無料相談で予算を先に伝えると、その範囲に収まる施設だけを提案してもらえるため、候補の絞り込みが早く進みます。入居を決めていない情報収集の段階でも利用できます。
紹介サービスが無料で使える理由や、検索ポータルとの使い分けは紹介サービスの仕組みと主要5社の使い分け比較で詳しく解説しています。
次の一手
親のお金を数えることに、後ろめたさを感じる必要はありません。それは親の暮らしを続けさせるための、いちばん実務的な愛情です。今日できる一歩は小さくて構いません。まずは親の年金の振込額を、通帳で1回分だけ確認する。それだけで、この記事の早見表が「自分ごとの表」に変わります。施設を今日決める必要はありません。ただ、「いつまでに予算を決めるか」だけ、今日決めておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1280(令和6年8月 基準費用額の見直し) https://www.mhlw.go.jp/content/001266890.pdf
- 厚生労働省「補足給付(負担限度額認定)について」 https://www.mhlw.go.jp/content/000778218.pdf
- 厚生労働省「高額介護サービス費の負担上限額」 https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf
- LIFULL介護「老人ホームの費用相場」(独自調査) https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/
- LIFULL介護「特別養護老人ホームの費用」 https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/hoken/tokuyo/cost/
- ケアスル介護「老人ホームの費用」 https://www.sagasix.jp/knowledge/cost/
- 厚生労働省「介護保険施設の概要」(特養の入所要件) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu11-1-1.pdf