老人ホーム8種類の違い早見表|特養・老健・サ高住・有料はどう選び分ける?
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親の施設を調べ始めて最初にぶつかる壁は、費用でも空き状況でもなく、「種類が多すぎて何を比べればいいのか分からない」ことです。特養、老健、サ高住——名前は聞いたことがあっても、違いを人に説明できる方はほとんどいません。それでも今こうして調べている時間は、親御さんのこれからを真剣に考えている時間そのものです。この記事では、8種類の施設の違いを「公的か民間か」「入居条件」「費用感」の3点で一枚の表に整理し、候補を2つまで絞り込むための3つの質問までお渡しします。
施設選びで最初に迷うのは「種類が多すぎる」こと
高齢者向けの施設・住まいは、大きく分けて8種類あります。公的な施設が4つ(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・ケアハウス)、民間の施設・住宅が4つ(介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム)です。
安心していただきたいのは、8種類すべてを詳しく知る必要はない、ということです。施設にはそれぞれ入居条件があり、親御さんの状況——要介護認定の有無と区分、年齢、予算——を当てはめると、候補は自然と2〜3種類まで減ります。なお、要介護認定の区分は非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の7段階で、認定は市区町村が行います(出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。まだ認定を受けていない場合は、施設の比較より先に、市区町村または地域包括支援センターでの認定申請が最初の一歩になります。
公的施設と民間施設——8種類の違い早見表
まず全体を一覧で押さえてください。費用のうち民間施設の金額はLIFULL介護・ケアスル介護など民間ポータルの独自調査による相場で、地域・施設により幅があります。公的施設の費用は所得などに応じて変わるため、金額を一律には示せません。
| 施設の種類 | 区分 | 主な入居条件 | 費用感の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的 | 原則65歳以上・要介護3以上 | 入居一時金なし。月額8.6万〜13.1万円程度(部屋タイプによる・減額制度あり) | 入所申込者は全国20.6万人(2025年4月1日時点)。待つ前提で考える |
| 介護老人保健施設(老健) | 公的 | 要介護1〜5 | 入居一時金なし。月額は所得等により変動 | リハビリで在宅復帰を目指す中間施設。長期入所が前提ではない |
| 介護医療院 | 公的 | 長期の医療と介護を必要とする方 | 入居一時金なし。月額は所得等により変動 | 病状に応じてⅠ型・Ⅱ型に大別 |
| ケアハウス(軽費老人ホームC型) | 公的 | 自立型60歳〜/介護型65歳〜・要介護1以上 | 施設により異なる | 居住地の制限なし |
| 介護付き有料老人ホーム | 民間 | 施設ごとに設定 | 一時金は中央値60万円(0〜2,400万円超と幅大)。月額は中央値23.1万円 | 施設の職員から介護を受ける類型 |
| 住宅型有料老人ホーム | 民間 | 施設ごとに設定 | 一時金は平均約51万円(0円も多い)。月額約14万〜17万円 | 介護は外部の在宅サービスを個別に契約 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 民間 | 住宅ごとに設定 | 敷金程度(約20万〜25万円)。月額15万〜16万円前後 | 登録制の賃貸住宅。安否確認・生活相談の提供が義務 |
| グループホーム | 民間 | 認知症の診断+要支援2以上・施設と同一市区町村の住民票 | 施設・地域により異なる | 1ユニット定員最大9名の小規模な共同生活 |
特養・老健・介護医療院:公的施設の位置づけと申し込みの現実
特別養護老人ホーム(特養)——費用は抑えめ、ただし待つ前提
特養は要介護高齢者のための生活施設で、入所は原則65歳以上・要介護3以上です(出典: 厚生労働省)。要介護1・2の方も「特例入所」という例外の枠組みがありますが、あくまで指針に基づく例外扱いです。申し込みの現実として、入所申込者は要介護3以上で全国20.6万人(2025年4月1日時点・厚労省調査。前回2022年度調査から約4.7万人減)、うち在宅で待機している方が8.6万人います。地域差はありますが、「申し込んですぐ入れる」前提では計画が立ちません。特養を候補にするなら、早めに申し込みつつ、待機期間の住まいを別に考える二段構えが現実的です。
介護老人保健施設(老健)——「終の住まい」ではない
老健は要介護1〜5の方を対象に、リハビリテーションを提供して在宅復帰を目指す中間施設です(出典: 厚生労働省)。長期入所を前提とした施設ではないため、「入れたら終わり」ではなく、退所後の行き先とセットで考える必要があります。
介護医療院——長期の医療と介護を一体で
介護医療院は、長期の医療と介護を一体で受けられる施設で、病状に応じてⅠ型・Ⅱ型に大別されます。どの型が親御さんの状態に合うかは医療の領域に関わるため、この記事では扱いません。主治医と担当のケアマネジャーに相談してください。なお、公的施設にはこのほかにケアハウス(軽費老人ホームC型)があり、自立型は60歳から、介護型は65歳から(要介護1以上)入居でき、居住地の制限がないのが特徴です。
サ高住・有料老人ホーム・グループホーム:民間施設の違い
サ高住は「施設」ではなく「住宅」
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法に基づく登録制の賃貸住宅で、国土交通省と厚生労働省が共管しています。義務づけられているサービスは「安否確認」と「生活相談」の2つで、位置づけはあくまで住まいです(出典: 国土交通省)。介護そのものが備わった施設と同列に比べると期待とずれるため、「見守りつきの賃貸」と捉えるのが正確です。
有料老人ホームは「介護付き」と「住宅型」で介護の受け方が違う
有料老人ホームは老人福祉法第29条に基づく届出制の施設です。「介護付き」は施設の職員から介護サービスを受ける類型、「住宅型」は住まいの提供が中心で、介護が必要になったら訪問介護などの在宅サービスを個別に契約する類型です。この違いは月々の費用の構造にも表れるため、パンフレットの月額だけでなく「介護費用が含まれているか」を必ず確認してください。なお、食事・介護・家事・健康管理のいずれかを提供するサ高住は、制度上は有料老人ホームにも該当します(出典: 国土交通省)。
グループホームは地域密着の小規模施設
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断と要支援2以上の認定が入居の前提です。地域密着型サービスのため、施設と同一市区町村の住民票が必要で、1ユニットの定員は最大9名。住み慣れた地域で少人数の共同生活を送る施設です(出典: 江東区・LIFULL介護)。
種類を絞り込む3つの質問
表と各施設の説明を踏まえて、次の3つの質問に答えると候補が絞れます。
- 要介護認定は受けていますか。区分はどれですか。区分が分かるだけで、入居条件により候補は半分以下になります。まだ認定前なら申請が先です。なお、親御さんの介護度が今後どうなるか、どの介護度にどの施設が適するかの判断はこの記事では扱いません。担当のケアマネジャー、いない場合は地域包括支援センターに相談してください。
- 毎月いくらまでなら払い続けられますか。初月に払える額ではなく、親御さんの年金と貯蓄で「続けられる」月額が基準です。
- 待てますか、急ぎますか。特養のように待つ前提の施設を軸にするか、いま空きのある民間施設から選ぶかで、探し方が変わります。
3つに答えても候補の種類が2つ以上残るのは、むしろ普通のことです。その場合、種類の議論を机上で続けるより、老人ホーム紹介サービスの無料相談で「その地域に、その種類の空きが実際にあるか」ごと絞り込むほうが早く進みます。入居を決めていない段階でも利用できます。
紹介サービスが無料で使える仕組みと各社の使い分けは老人ホーム紹介サービスはなぜ無料?仕組みと主要5社の使い分け比較で解説しています。
種類が絞れたら次は費用——月額の内訳へ
種類の候補が決まったら、次に確認するのは費用の中身です。月額は「居住費・食費・介護保険自己負担・上乗せサービス」でできており、内訳を知らないままパンフレットの金額だけを比べると判断を誤ります。詳しくは老人ホームの費用相場はいくら?月額の内訳と親の年金の範囲で探す方法に進んでください。
次の一手
施設の種類を調べたことに、後ろめたさを感じる必要はありません。違いを知ろうとするのは、親御さんの住まいをいい加減に決めたくない、という気持ちの表れです。今日できる一歩は小さくて構いません。この記事の早見表を眺めて、「うちの場合はこの2つかもしれない」と丸をつけてみる。それだけで、次に調べることがはっきりします。施設を今日決める必要はありません。ただ、「いつまでに候補の種類を2つに絞るか」だけ、今日決めておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険施設の概要」(特養・老健の位置づけと入所要件) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu11-1-1.pdf
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(2025年調査) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000157884_00004.html
- 厚生労働省 特例入所に係る指針について https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052324.pdf
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「要介護認定の流れ」「利用料」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html / https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000005.html
- 国土交通省 有料老人ホーム関係資料(老人福祉法第29条・サ高住の該当関係) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001865267.pdf
- 江東区「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」 https://www.city.koto.lg.jp/212105/fukushi/kaigohoken/service/kakushisetsu/6565.html
- LIFULL介護「グループホームとは」「老人ホームの費用相場」(独自調査) https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/other/group_home/ / https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/
- LIFULL介護「特別養護老人ホームの費用」 https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/hoken/tokuyo/cost/
- ケアスル介護「老人ホームの費用」「住宅型有料老人ホームとは」 https://www.sagasix.jp/knowledge/cost/ / https://www.sagasix.jp/column/beadhouse/residential-paid-nursing-home/
- ベネッセスタイルケア「ケアハウス(軽費老人ホームC型)とは」 https://kaigo.benesse-style-care.co.jp/article/knowledge/nursinghome/carehouse/ctype
- ジョブメドレー「介護医療院とは」 https://job-medley.com/tips/detail/38414/