新卒1年目で辞めるのは逃げ?試用期間でも損しない退職のルールと伝え方

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入社して1年も経っていないのに、もう辞めたい。そう思うたびに「ここで辞めたら逃げだと思われる」「親になんて言えばいいのか」と、気持ちに蓋をしていないでしょうか。悩んでいるのは、あなたの根性が足りないからではありません。この記事では、新卒1年目・試用期間中の退職のルールと、お金で損しないための手続き、そして「逃げ」と言われたときの答え方まで、一次情報をもとに整理します。

「石の上にも三年」の前提はもうない——新卒3年以内離職率は約3人に1人

まず数字から確認します。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規大卒就職者の3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)。つまり、およそ3人に1人が3年以内に最初の会社を離れています。前年の34.9%からわずかに下がったものの、「3人に1人」という水準は変わっていません。

「石の上にも三年」という言葉が生まれた時代と、いまの働き方は違います。合わない場所から離れるのは逃げではなく、判断です。3人に1人が下している判断を、あなただけが「甘え」と呼ばれる理由はありません。ただし、辞め方を知らないまま動くと、お金や手続きで損をすることがあります。順番に見ていきましょう。

試用期間中でもルールは同じ:2週間前の意思表示で辞められる

「試用期間中だから、正式な社員じゃない。辞め方も特別なのでは」と不安に思う方が多いのですが、試用期間中でも雇用契約はすでに成立しています。労働者側からの退職には、通常の退職と同じルールが適用されるとされています。

そのルールが民法627条1項です。期間の定めのない雇用契約では、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れから2週間の経過で雇用契約は終了すると定められています。会社の同意や承諾は必要ありません。就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」とある場合でも、2週間で退職の効力が生じるとされています(この点は法的な議論もあるため、円満に進めたいなら就業規則の期日も踏まえて早めに伝えるのが現実的です)。

書面は「退職願」ではなく「退職届」を使います。退職願は会社にお伺いを立てる形式と解釈される余地があるのに対し、退職届は一方的な意思表示であり、提出から2週間の経過で退職が成立するとされています。そもそも切り出すこと自体がつらい、という方は仕事を辞めたいのに言えないときの3つの選択肢で、伝え方のハードルを下げる方法を整理しています。

1年未満で辞めるときのお金:失業給付の条件と社会保険の切り替え

ここは新卒1年目に特有の、いちばん大事な注意点です。失業保険(基本手当)は、自己都合退職の場合、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが受給の条件です。つまり、勤続1年未満で自己都合退職した新卒は、原則として失業給付を受け取れません。「辞めれば失業手当がもらえる」という前提で生活設計をしないでください(会社都合などの特定受給資格者は、離職前1年間に6か月以上で受給できる場合があります)。

受給できる場合の給付制限も変わりました。2025年4月1日以降の退職から、自己都合退職の給付制限期間は原則1か月に短縮され、厚生労働省が指定する教育訓練を受講すると給付制限が解除される仕組みも始まっています(5年以内に2回以上自己都合退職している場合は3か月)。

社会保険の切り替えには期限があります。国民健康保険への加入は資格喪失日から原則14日以内、いまの健康保険を続ける任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民年金への切り替えは退職日の翌日から14日以内が手続きの期限です。14日を過ぎても手続き自体はできますが、保険料は退職の翌日までさかのぼって請求されます。転職先が決まっていない状態で辞めるなら、退職日の翌週には市区町村の窓口へ行く、と決めておきましょう。

上司と親への伝え方:「逃げ」と言われたときの答え方

上司への伝え方は、結論から言うことに尽きます。「相談があります」ではなく「退職させていただきたく、ご報告です」と、決定事項として伝える。理由は「一身上の都合」で足り、詳細を説明する義務はありません。引き止めに備えて、退職日を先に自分で決めてから話すことが、揺さぶられないための準備になります。

難しいのは、むしろ親かもしれません。「せっかく入った会社なのに」「1年も続かないなんて」という言葉は、あなたを傷つけるために出るのではなく、多くは古い時代の常識と心配から出ています。そのときは、事実を静かに返してください。いま新卒の3人に1人が3年以内に会社を離れていること。直近1年の20代転職者の18.6%が退職代行を使うほど、「辞め方」自体が変わっている時代であること(マイナビキャリアリサーチLab 2024年調査)。逃げかどうかを決めるのは、辞めた事実ではなく、その後どう動くかです。

新卒・試用期間中でも退職代行は使えるか

結論から言うと、新卒でも試用期間中でも、退職代行の利用に法的な制限はありません。退職代行が行うのは、民法627条に基づくあなたの退職の意思を会社に伝えることであり、勤続年数や試用期間かどうかは関係がないためです(サービスごとの利用条件は各社の規約で確認してください)。

ただし、業者のタイプによって「できること」が違う点には注意が必要です。有休の消化や退職日の調整といった会社との交渉まで頼めるのは、労働組合型と弁護士型に限られます。タイプごとの権限と料金の違いは退職代行3タイプの違いと選び方で詳しく整理しています。

「自分の口で言えないなんて」とためらう気持ちがあるかもしれませんが、電話が苦手な人が書面で伝えるのと同じで、手段の選択にすぎません。使うかどうか迷っている段階なら、まず状況だけ相談してみるという入り口もあります。

辞めたあとの動き方:第二新卒という選択肢の実際

新卒で入った会社を数年以内に離れて転職活動をする人は、一般に「第二新卒」と呼ばれます。新卒一括採用の枠にも、経験者採用の枠にも収まらない立場ですが、基本的なビジネスマナーを身につけたうえで柔軟に育てられる人材として、若手を採用したい企業から一定の需要がある区分です。

大事なのは、「なぜ辞めたか」ではなく「次に何を選ぶか」を語れる状態で動くことです。1社目で合わなかった条件(仕事内容・労働時間・社風など)を言葉にできれば、それは失敗談ではなく、次の会社選びの精度を上げる材料になります。第二新卒向けの転職支援では、この整理をエージェントとの面談で行えるため、ひとりで職務経歴書と向き合う前に、まず話を聞いてもらうところから始めるのが現実的です。

次の一手

新卒1年目で辞めることは、逃げではありません。3人に1人が通る道であり、あなたが弱いから悩んでいるのでもありません。合わない場所に気づけたこと自体が、1年目の収穫です。

今日、退職届を出す必要はありません。まずは小さな一歩として、①自分の被保険者期間(入社日からの月数)を確認する、②辞める場合の退職日の候補を1つ決める、③自分で伝えるか・代行に相談するかを紙に書き出す——この3つだけで十分です。

そして最後にひとつだけ。辞めるかどうかを今日決めなくていいので、「いつまでに決めるか」だけ、今日決めてください。期限のない悩みは、いちばん心をすり減らします。

参考資料