退職代行はどれを選ぶ?弁護士・労組・民間3タイプの違いと失敗しない選び方

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退職代行を検索している自分に、少し後ろめたさを感じていませんか。直近1年に転職した人の16.6%、20代に限れば18.6%が退職代行を利用しています(マイナビキャリアリサーチLab・2024年調査)。電話が苦手な人が書面で用件を伝えるのと同じで、代行は手段の選択にすぎません。ただし退職代行には「会社と交渉できるタイプ」と「できないタイプ」があり、これを知らずに選ぶと、料金を払ったのに有休の話がひとつも進まない、ということが起こり得ます。この記事では、弁護士・労働組合・民間の3タイプの違いと、あなたのケースでの選び方を整理します。

退職代行の3タイプ——弁護士・労働組合・民間で「できること」が違う

退職代行は運営元によって3タイプに分かれ、法律上できることの範囲がはっきり異なります(出典: ベンナビ労働問題)。

  • 弁護士型:法律事務の全般を扱えます。退職の意思伝達に加えて、有休消化や退職金の交渉、未払い残業代の請求、会社から損害賠償の話が出たときの対応、必要なら訴訟まで任せられます。
  • 労働組合型:労働組合が団体交渉権に基づいて会社と交渉できます。有休消化・退職日・未払い賃金の支払いなど、退職条件の話し合いが可能です。
  • 民間型:一般企業が運営するタイプです。できるのは退職の意思を会社に「伝える」ことまでで、条件の交渉はできません。

知名度や料金の安さから入ると、この権限の差を見落としがちです。「自分のケースに交渉が必要かどうか」から考えることが、失敗しない選び方の出発点になります。

会社と「交渉」できるのは弁護士と労組だけ。民間型の限界を先に知る

民間型が担えるのは、法律上「退職の意思を伝達する使者」の役割までです。有休を消化したい、退職金を規定どおり支払ってほしい、といった退職条件の交渉を民間業者が行うと、後述する非弁行為に該当します(出典: ベンナビ労働問題)。つまり民間型は、あなたの希望を会社に「伝える」ことはできても、会社が渋ったときに「話し合う」ことができません。

この差が重要なのは、退職代行を使う理由の最多が「引き留められた(引き留められそうだ)から」で約4割を占めるからです(出典: マイナビキャリアリサーチLab・2024年)。引き留めやトラブルが想定される状況ほど、交渉権のない民間型では対応しきれない場面が出てきます。多くの方が「一番安いところでいいか」で立ち止まりますが、見るべきは値段の前に権限です。

権限×料金の対応表:あなたのケースに必要なのはどのタイプか

タイプ 会社との交渉 料金の目安 向いているケース
民間型 できない(意思の伝達まで) 2万〜2.2万円ほど 引き留めやトラブルの心配がなく、伝えてもらえれば足りる
労働組合型 できる(団体交渉権に基づく交渉) 2.4万〜2.9万円ほど 有休消化や退職日の調整までまとめて任せたい
弁護士型 できる(法律事務全般・訴訟対応) 2.75万〜7.7万円+回収額の20%程度の成功報酬の例あり 未払い残業代の請求や、損害賠償の話が出ている

業界全体の料金相場は2万〜5万円です(出典: Jump-Ship)。表の金額は2026年時点の比較記事調べの実勢価格で、各社の料金は改定が頻繁にあります。申し込み前に必ず公式サイトで最新の料金と追加料金の有無を確認してください。料金の内訳やオプションの落とし穴は退職代行の料金相場と追加料金の記事で詳しく整理しています。

非弁行為とは何か。民間型を選ぶ前に確認する3つのポイント

非弁行為とは、弁護士でない者が報酬を得る目的で、業として法律事務を行うことです。弁護士法72条で禁止されています(出典: マネーフォワード クラウド契約)。民間型の退職代行が有休や退職金の交渉まで踏み込めば、これに該当するおそれがあります。そして手続きが途中で止まるリスクを負うのは、業者ではなく利用者のあなたです。民間型を検討するなら、申し込み前に次の3点を確認してください。

  1. 運営元がどこか:弁護士事務所か、労働組合か、一般企業か。「弁護士監修」の表記は、弁護士本人が対応することとは別物です。
  2. 「交渉もできます」と謳っていないか:民間型が交渉をうたっていたら、それ自体が非弁行為を疑うサインです。
  3. 相場から極端に外れて安くないか:料金の安さだけで、実態のわからない業者を選ばないことです。

なお2026年2月には、業界最大手とされる退職代行サービスの運営会社代表が、利用者を弁護士へ有償であっせんしたとする弁護士法違反の容疑で逮捕されました(出典: 時事通信)。あくまで容疑の段階ですが、「大手で有名だから安心」とは言い切れないことを示す出来事です。

ケース別の結論:即日希望・有休交渉・未払い請求ならこれ

ここまでの権限の違いを、よくある3つのケースに当てはめます。

  • もう出社せずに辞めたい:期間の定めのない雇用は、退職を申し入れてから2週間の経過で終了するとされています(民法627条)。会社の承諾は不要です。残りの期間を有休や欠勤に充てる形が取られますが、有休の扱いで会社との調整が必要になるなら交渉権が要るため、労働組合型以上が確実です。
  • 有休を消化してから辞めたい・退職日を調整したい:有休の取得は労働基準法39条に定められた労働者の権利ですが(出典: 厚労省リーフレット)、退職時の消化スケジュールは会社との調整、つまり交渉になりがちです。労働組合型か弁護士型を選んでください。民間型では対応できません。
  • 未払い残業代を請求したい・損害賠償の話が出ている:金銭の請求や法的トラブルへの対応は、弁護士だけが扱える領域です。費用は上がりますが、迷わず弁護士型を選ぶ場面です。

自分がどのケースに当たるか判断がつかないときは、申し込む前に無料相談で状況を話してみるのが安全です。名乗らずに、まず状況だけ相談できます。

申し込みから退職完了までの流れと、当日にやること

タイプによる差はありますが、一般的な流れは次のとおりです。

  1. LINEやフォームで無料相談し、状況を伝えて料金と対応範囲を確認する
  2. 支払い後、勤務先・雇用形態・希望退職日・有休の残日数などをヒアリングで共有する
  3. 実施日の朝、労働組合や弁護士が会社へ退職の意思を連絡する。本人は出社しない
  4. 退職届と、健康保険証・社員証・貸与品を会社へ郵送する
  5. 離職票や源泉徴収票など、退職後に必要な書類を受け取って完了

当日にあなたがやることは、退職届の用意と返却物の梱包くらいです。もし有休が20日近く残っているなら、消化できるかどうかで手元に残るお金が大きく変わります。有休消化の手順と、拒否されたときの対処の記事もあわせて確認してください。

次の一手

退職代行を使うことに、後ろめたさを感じる必要はありません。合わない場所から離れるのは逃げではなく判断ですし、20代の転職者の5人に1人近くが同じ手段を選んでいます。自分の口で言えなかったのではなく、言いにくい環境がそこにあっただけです。

今日、退職そのものを決めなくてかまいません。ただ、次の3つだけメモしてみてください。①有休が何日残っているか、②引き留め・未払い・損害賠償など揉めそうな要素があるか、③その結果、自分に必要なのは民間・労組・弁護士のどのタイプか。この3つが埋まれば、あとは動くだけの状態になります。そして「いつ決めるか」だけ、今日決めてしまいましょう。

参考資料