実家を相続したら最初にやること5つ——相続登記は「義務」になりました

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親が亡くなり、実家を相続することになった。気持ちの整理がつく前に、登記や名義変更といった手続きだけが次々と押し寄せてくる——その理不尽さの中で、「何から手をつければいいのか分からない」と立ち止まっていませんか。編集部にも、同じ状況の声が多く届きます。遠方に住んでいると、実家の様子を見に行くだけでも一苦労です。この記事では、実家を相続したときに最初にやるべきことを、進める順番どおりに5つへ整理しました。

先に全体像を示します。上から順に進めれば大丈夫です。

  1. 遺言書の有無を確認する
  2. 相続人と財産を確定する
  3. 相続登記を申請する(2024年4月から義務です)
  4. 実家の現状を把握する
  5. 実家の「出口」を決める

ステップ1:遺言書の有無を確認する

最初にやることは、遺言書があるかどうかの確認です。遺言書の有無で、その後の手続きの流れが大きく変わるからです。

まずは自宅を探します。仏壇の引き出し、金庫、書斎の机、銀行の貸金庫などが、よくある保管場所です。

自宅で見つからなくても、公的な場所に残されている場合があります。公正証書遺言(公証人という法律の専門家が関与して作成された遺言)は、全国どこの公証役場でも「遺言検索」で有無を照会できます。また、自分で書いた遺言書を法務局に預ける制度もあり、こちらは法務局で保管の有無を確認できます。いずれも、亡くなった方との関係が分かる戸籍などを持参して手続きします。

自筆の遺言書を見つけたら、開封しない

封のされた自筆の遺言書を自宅で見つけた場合、その場で開けてはいけません。家庭裁判所の「検認」という、遺言書の状態を確認してもらう手続きが必要です。勝手に開封するとトラブルのもとになりますので、そのまま保管してください。

ステップ2:相続人と財産を確定する

次に、「誰が相続人なのか」と「財産に何があるのか」を確定させます。

相続人の確定には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍をそろえる必要があります。本籍地を移していると複数の市区町村から取り寄せることになりますが、現在は最寄りの役所の窓口でまとめて請求できる制度もあります。手間はかかりますが、後の手続きすべてで使う書類ですので、早めに着手しましょう。亡くなって間もない時期に親の戸籍をたどる作業は、想像以上に気力の要る仕事です。多くの方が同じところで立ち止まりますから、一度に終わらせようとしなくて構いません。

財産の確定は、実家だけで終わらせないことが大切です。預貯金、株式、そして借金も相続の対象です。実家に届いている固定資産税の納税通知書、通帳、証券会社からの郵便物などが手がかりになります。実家以外に土地や山林を持っていた、というケースも珍しくありません。

相続人と財産がそろって初めて、遺産分割協議(相続人全員で財産の分け方を決める話し合い)ができます。逆に言えば、ここが曖昧なまま話し合いを始めると、やり直しになります。

ステップ3:相続登記を申請する——2024年4月から義務です

ここが本記事で一番お伝えしたいところです。相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する手続きのことです。この相続登記が、2024年4月1日から義務になりました。

期限とペナルティは次のとおりです。

  • 相続で不動産を取得したと知った日から、3年以内に登記を申請する必要があります。
  • 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政上の金銭的なペナルティで、刑事罰の罰金とは別のもの)の対象になり得ます。

「3年」「過料」と聞くと焦るかもしれませんが、これは急かすための数字ではありません。仕組みを知った今日が、いちばん早い着手のタイミングです。注意したいのは、2024年4月1日より前に発生した過去の相続も対象になる点です。「ずっと前に相続した実家が、亡くなった祖父の名義のまま」という場合も、義務の対象です。期限を整理すると次のようになります。

相続の時期 登記申請の期限
2024年4月1日以降の相続 不動産の取得を知った日から3年以内
2024年4月1日より前の相続 「知った日から3年」または「2027年3月31日」のいずれか遅い日まで

話し合いがまとまらないときは「相続人申告登記」

「相続人どうしの話し合いが長引いて、3年以内に間に合いそうにない」という場合のために、相続人申告登記という簡易な方法が用意されています。「自分がこの不動産の相続人です」と法務局に申し出る手続きで、これをしておけば登記の義務を果たしたことになります。ただし、名義変更そのものではないため、売却などの前には改めて正式な相続登記が必要です。

相続登記の窓口は、不動産の所在地を管轄する法務局です。自分で申請することもできますが、戸籍の読み解きに手間がかかるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

ステップ4:実家の現状を把握する

登記と並行して、実家そのものの管理を整えます。特に遠方にお住まいの方は、次の4点を早めに済ませておくと安心です。

  • 火災保険の継続:契約者が亡くなったままにせず、保険会社へ連絡して名義変更をします。人が住まなくなると契約条件が変わる場合があるため、「空き家になった」ことも必ず伝えてください。
  • 電気・ガス・水道:使わないものは止めます。ただし、片付けや売却前の掃除で使うため、電気と水道は当面残しておくという選択もあります。
  • 貴重品・重要書類の回収:権利証(登記識別情報)、通帳、印鑑、年金や保険の書類は、早めに手元へ回収します。空き家は盗難の対象になりやすいためです。
  • 近隣への挨拶:「しばらく空き家になります」と伝え、自分の連絡先を渡しておきます。台風の後の破損など、異変を知らせてもらえる関係は、遠方管理の何よりの助けになります。

実家に入り、親の持ち物に触れる作業は、一連の手続きの中でいちばん心が揺れるところです。無理に一日で片付けようとせず、まずは上の4点だけ済ませる、という進め方で十分です。

ステップ5:実家の「出口」を決める

最後に、実家をこれからどうするか。選択肢は大きく4つです。

選択肢 向いているケース
売る 戻る予定がなく、管理の負担を手放したい
貸す 立地に需要があり、手放したくはない
管理して維持する 将来住む・使う可能性が残っている
解体して土地を活用する 建物が古く、土地としての価値が中心

どれを選ぶかは、ご家族の事情によって変わります。ただ一つ確かなのは、「決めずに放置する」が一番損だということです。管理が行き届かないまま放置された家は、市区町村から「管理不全空き家」に指定されることがあります。指定されると固定資産税の軽減特例が解除され、税額が実質最大6倍になる場合があります。

ここまで読んで、実家を手放す選択肢が頭をよぎり、後ろめたさを感じた方もいるかもしれません。ですが、実家をどうするか考えることは、親不孝ではありません。家を大切にすることと、家に縛られることは、別のものです。

出口を決めるのは、今日でなくて構いません。今日やることは二つだけです。ステップ1の遺言書の確認を今週の予定に入れること。そして、「いつまでに出口を決めるか」の期日だけ、今日決めておくことです。

次の一手

ステップ1〜4まで進んだら、いよいよ出口の検討です。売る・貸す・管理する・解体するの比較と進め方は、空き家・実家じまいガイドにまとめています。

固定資産税が上がる仕組みと避け方を先に知りたい方は、固定資産税が6倍に?「管理不全空き家」の条件と回避策をご覧ください。売却に気持ちが傾いている方は、空き家の買取と仲介、どっちが得?が参考になります。

参考資料