空き家の買取と仲介、どっちが得? 一括査定を使う前に知るべきこと

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親の家を売る方法を調べ始めるまでに、長い時間がかかった方も多いはずです。育った家を手放すことへのためらい、親戚にどう伝えるかという気まずさ。編集部にも、同じところで立ち止まったという声が多く届きます。ただ、売ると決める前でも、選択肢を知っておくことはできます。実家や空き家を売る方法は、大きく2つあります。不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社そのものに買い取ってもらう「買取」です。どちらを選ぶかで、手元に残る金額も、売れるまでの期間も大きく変わります。この記事では両者の違いを整理し、どちらを選ぶ場合でも最初にやるべきことをお伝えします。

結論: 時間があるなら仲介、早く確実に手放すなら買取

先に結論です。時間に余裕があり、できるだけ市場価格で売りたいなら仲介。多少安くなっても、早く確実に手放したいなら買取が向いています。主な違いは次の表のとおりです。

項目 仲介 買取
価格水準 市場価格で売れる可能性がある 市場相場の6〜8割程度が目安
売却までの期間 3〜6ヶ月以上かかることも 最短数日〜数週間
仲介手数料 かかる(売買価格400万円超なら「売買価格の3%+6万円+消費税」が上限) かからない
契約不適合責任 原則、売主が負う 免除されることが多い
向いている人 立地が良く、時間をかけられる人 古い家・遠方の家を早く手放したい人

表にある「契約不適合責任」とは、売った後に雨漏りやシロアリなどの欠陥が見つかったとき、売主が修理費用などを負担する責任のことです。それぞれの仕組みを順に見ていきます。

仲介の仕組みとメリット・デメリット

仲介は、不動産会社に依頼して買い手を探してもらう方法です。不動産会社は広告を出し、購入希望者の内覧(家の中の見学)に対応し、売買が成立したら報酬として仲介手数料を受け取ります。

仲介のメリット

  • 市場価格で売れる可能性があります。買いたい人が複数いれば、希望に近い価格で売れることもあります
  • 売り出し価格を自分で決められます。納得できない価格で手放す必要はありません

仲介のデメリット

  • 仲介手数料がかかります。売買価格が400万円を超える場合、上限は「売買価格の3%+6万円+消費税」です。仮に1,000万円で売れたとすると、上限は39万6,000円(税込)になります
  • 売れるまで3〜6ヶ月以上かかることもあります。買い手が現れなければ1年以上売れないケースもあり、その間も固定資産税や管理の手間は続きます
  • 内覧のたびに立ち会いや掃除が必要です。実家が遠方にあると、この負担は小さくありません

買取の仕組みとメリット・デメリット

買取は、不動産会社が自ら買主になる方法です。会社は買い取った家をリフォームして再販売し、利益を得ます。その利益とリスクの分だけ価格は下がるため、買取価格は市場相場の6〜8割程度が一般的な目安です。

買取のメリット

  • 早い。価格に合意すれば、最短数日〜数週間で現金化できます
  • 仲介手数料がかかりません
  • 広告や内覧が不要で、近所に知られずに売れます
  • 契約不適合責任が免除されることが多く、売った後の心配が少なくなります
  • 古い家や田舎の家でも対応する専門業者があります。仲介では買い手がつきにくい物件の受け皿になっています

買取のデメリット

  • 価格は相場の6〜8割程度にとどまります。立地の良い家なら、仲介で売った場合との差が数百万円になることもあります
  • 会社によって買取価格の差が大きい。1社の提示額だけで決めるのは危険です

どちらを選ぶか: 判断の目安

次の項目に多く当てはまるほど、買取寄りです。

  • 築年数が古い(特に昭和56年以前の旧耐震基準の家)
  • 実家が遠方にあり、内覧対応や管理が難しい
  • 固定資産税や管理の負担から、早く解放されたい

逆に、駅から近いなど立地が良く、売却を急いでいないなら仲介寄りです。なお、仲介で売り出して一定期間売れなければ買取に切り替える「買取保証」を用意している会社もあります。また「田舎だから売れない」と決めつけるのはまだ早いかもしれません。詳しくは「田舎の実家、売れない」は本当かで解説しています。

条件の整理とは別に、「そもそも売ってしまっていいのか」という迷いが消えない方も少なくありません。売る決断は、家を見捨てることではありません。誰も住まないまま傷んでいく前に、次に使う人へ渡すことです。それも、親御さんが大切にしてきた家を活かす方法のひとつだと編集部は考えています。

どちらを選ぶにしても、最初にやることは同じです

仲介か買取かを今すぐ決める必要はありません。売るかどうかさえ、まだ決めなくて構いません。最初にやるべきことはどちらでも同じで、複数の不動産会社の査定額を比べて相場を知ることです。

1社だけの査定で決めると、その額が高いのか安いのか判断できません。相場を知らないまま、本来より安く手放してしまうリスクがあります。特に買取は会社ごとの価格差が大きいため、比較は欠かせません。

複数の会社に1軒ずつ連絡するのが大変な場合は、一括査定サービスという選択肢があります。物件の所在地や間取りなどを1回入力すると、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる仕組みです。

査定は無料で、査定を受けたからといって売る義務はありません。この段階でやるのは、売ると決めることではなく、まず数字を知ることだけです。相場が分かってはじめて、残すか手放すかを落ち着いて考えられるようになります。

一括査定を使う前に知っておきたい注意点

便利な仕組みですが、正直にお伝えすると、注意点が3つあります。

  1. 複数社から連絡が来ます。依頼した各社から電話やメールが届きます。連絡手段をメールに限定できるサービスもあるので、電話が苦手な方は事前に確認しましょう
  2. 査定額は「売れる価格」ではありません。査定額は「この価格なら売れそうだ」という各社の見込みで、実際の成約価格はそれより下がることがあります
  3. 高すぎる査定額には注意が必要です。契約を取るために、あえて高めの額を提示する会社もあります。額の高さだけで選ばず、「なぜその価格なのか」の根拠を聞いてください

相続した空き家なら: 3,000万円の特別控除を確認

相続した実家を売って利益(譲渡所得)が出ると、税金がかかります。ただし「相続空き家の3,000万円特別控除」という特例が使えると、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けます。被相続人(亡くなった方)が住んでいた家を相続して売った場合が対象です。主な条件は次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 耐震リフォームをして売るか、解体して売ること。2024年以降の譲渡では、売った後、翌年2月15日までに買主が耐震改修または解体する場合も適用できます
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 特例の適用期限は2027年12月31日まで

なお、相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円になります。期限のある特例なので、相続から年数が経っている方はまず日付を確認してください。解体して売る場合の費用感は解体費用の相場と補助金の探し方にまとめています。要件の詳細は、記事末の国土交通省・国税庁の資料で確認できます。

次の一手

  1. 相続して間もない方は、売却の前に名義変更などの手続きを済ませましょう。実家を相続したら最初にやること5つで手順を確認できます
  2. 複数社の査定額を比べて、実家の相場を知りましょう。仲介か買取かは、相場を知ってから決めれば十分です
  3. 相続空き家なら、3,000万円特別控除の期限(相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日、かつ2027年12月31日まで)を確認しましょう

ここまで手をつけられずにいたとしても、それはあなたが怠けていたからではありません。誰にとっても重い話です。今日、売ると決める必要はありません。ただ、特例の期限は待ってくれないので、「いつまでに決めるか」だけ今日決めておきませんか。相場を知ることは、そのための小さな一歩です。

参考資料