墓じまいは一人で決めていい?改葬許可申請に必要な同意と進め方

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墓じまいを進めようとしたとき、ふと手が止まる瞬間があります。「自分は名義人だから、このまま進めていいのだろうか」「兄弟や親戚には、まだ何も話していない」——そんな迷いです。言い出しにくいのは、あなたが不誠実だからではありません。誰にとっても重い話です。実際、独断で進めたからといって直ちに違法になるわけではありませんが、行政書士のコラムでは、親族に知らせないまま進めた結果、関係が深く傷つくケースがあると指摘されています(フジ行政書士事務所、2026年2月16日公開・8月5日更新)。まずは「法律上どこまで一人で決められるのか」を正確に知ることから始めましょう。

この記事の結論

法律上、改葬許可申請は名義人(祭祀承継者)が単独で進められますが、独断は親族間トラブルの火種になり得るため、事前に伝えておくことが勧められます。

  • 民法や墓地埋葬法に、名義人以外の親族全員の同意を義務づける規定は今回の調査では見当たりませんでした
  • 改葬許可申請で自治体が確認するのは、基本的に名義人本人の意思(委任状・承諾書)です
  • 今日やることは、手続きを進める前に「誰に、いつ伝えるか」を決めることだけです

一人で背負い込む前に、専門の窓口で第三者の視点を借りるという選択肢もあります。墓じまい代行サービス|墓じまいパートナーズ

結論——法律上は名義人(祭祀承継者)が単独で改葬許可を申請できる。ただし「進めていい」とは別の話

結論から言うと、改葬許可申請は法律上、お墓の名義人(祭祀承継者)が単独で進めることができます。民法や墓地埋葬法のいずれにも、「祭祀承継者以外の親族全員の同意を得ること」を改葬の要件とする明文規定は、今回確認できた一次情報の範囲では見当たりませんでした。ただし、これは全国すべての自治体・すべてのケースを保証する結論ではなく、あくまで今回確認できた一次情報(後述する全日本墓園協会のFAQ、京都市の申請案内など)の範囲での整理です。改葬件数は2023年度に166,886件と過去最多を更新していますが(厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」)、この中には一人で判断を進めた家庭も、家族で話し合って進めた家庭も、どちらも含まれています。「一人で決めていいか」という問いへの答えは、法律の話と、家族関係を守る話の、二段階に分けて考える必要があります。

祭祀承継者はどう決まるか——民法897条と承継順位

お墓の名義(使用権)を引き継ぐ人は、民法897条で定められた「祭祀承継者」です。承継の順位は、①被相続人(お墓の持ち主だった人)が指定した人、②指定がなければ地域の慣習に従う人、③慣習も明らかでなければ家庭裁判所が定める人、の順とされています(e-Gov法令検索「民法」第897条、東京弁護士会の解説)。この被相続人による指定は、遺言のような正式な書面に限らず、生前の口頭での指定でも有効と扱われる場合があるとされています(全日本墓園協会「墓地の経営・管理に関するFAQ」)。承継順位の考え方や、費用負担との関係については、墓じまいの費用は誰が払う?兄弟・親族間の分担の決め方と揉めないための進め方でも詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。

改葬許可申請は誰の同意が必要か——名義人本人の意思確認と親族全員の同意は別の話

改葬許可申請そのものは、名義人本人の意思確認さえ取れていれば進められる、というのが今回確認できた範囲での実務の姿です。全日本墓園協会のFAQでは、複数の相続人がいて祭祀承継者が誰かはっきりしない場合の対応として、「申請してきた者が、祭祀の承継にあたって、特に不自然と思われない係累からの申請であれば、これを認める」という運用が紹介されています。実際の自治体窓口の例として、京都市では、改葬許可申請は基本的に墓地使用者(名義人)が行うものとされ、代理人が申請する場合は名義人本人の委任状、名義人以外の人が申請する場合は名義人本人からの承諾書が必要と定められています(京都市「改葬許可申請の手続について」)。いずれも「名義人本人の意思確認」の話であり、「名義人以外の親族全員の同意」を求める規定ではありません。別の行政書士事務所の解説でも、複数の親族全員の同意が必ず必要とは明記されておらず、必要書類は自治体ごとに異なるため事前確認が欠かせないと注意喚起されています(大塚法務行政書士事務所)。実際の申請書類や自治体窓口とのやり取りの流れは、改葬許可証の取り方ガイド|必要書類・申請の流れ・費用を役所の書式で確認で書式つきで解説しています。

「法律上できる」と「独断で進めても問題が起きない」は別——行政書士が指摘する法的リスクと親族間トラブルの実際の傾向

法律上できることと、実際にやったほうがよいことは別の話です。フジ行政書士事務所(大阪府行政書士会所属)のコラムでは、「自分が祭祀承継者だから決められる、という一点だけで判断するのは危険」という見方が示されています。墓地の使用名義や使用規則、改葬許可申請の権者などは個別に確認する必要があり、独断で進めたからといって直ちに違法になるわけではないものの、訴訟に発展するリスクはゼロではないとされています。同コラムは「訴えられたからといって相手の請求が当然に認められるわけではない」としながらも、「一度裁判や深刻な親族間紛争になれば、時間や費用がかかるだけでなく、親族関係そのものが修復できなくなることもある」と注意を促しています。これは1つの事務所の見解であり、確定的な法解釈ではありませんが、実務の目線として参考になります。全国石製品協同組合が実施したアンケート調査(有効サンプル500名、全国40〜70代男女、2026年4月24日〜26日実施)によると、墓じまいを進める際に誰に相談したかという設問で、「誰にも相談しない」と答えた人は32.8%(164件)で、「夫・妻」33.2%に次ぐ多さでした。別の調査(墓じまいパートナーズ「墓じまい実態調査2026」、経験者52人・検討者178人の計230人対象、2026年3月実施)では、「親族との話し合い」が大変だったと答えた人が17.3%にのぼりました。お寺との金銭的な話し合いに不安がある場合は、離檀料はいくら払う?相場とお寺に切り出す前に知っておく交渉の進め方もあわせてご覧ください。

同意を取る順番——誰に・いつ・どんな言葉で伝えるか

結論から言うと、法的な同意書は不要でも、伝える順番を決めておくことがトラブル回避につながります。フジ行政書士事務所のコラムが挙げる対策は、(1)祭祀承継者・墓地使用者の関係を事前に確認する、(2)他の親族に事前に知らせておく、(3)書面やメールなど記録が残る形で通知する、の3点です。手続きを進める前に配偶者や近い親族へ一報を入れておくことは、法的な義務ではなく、あとから「聞いていない」という感情的なもつれを避けるための予防線と考えるとよいでしょう。実際にどんな言葉で切り出せばよいかという具体的な会話の進め方は、墓じまいは先祖に申し訳ない?罪悪感との向き合い方と親族への伝え方・進め方で詳しく取り上げていますので、あわせて読んでいただくと進めやすくなります。

反対されても手続きを止めない場合のリスクと、止めたほうがよい場合の見極め

反対する親族がいても、法律上は名義人の権限で手続きを進めること自体は可能です。ただし、フジ行政書士事務所のコラムが指摘するとおり、「祭祀承継者だから」という一点だけで押し切ることにはリスクが伴います。独断で進めたことが原因で親族間の訴訟や調停に発展した件数を示す公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。ですが、強い反対を受けているのに一人で押し進めようとしている場合は、いったん立ち止まり、行政書士など第三者の視点を挟むという選択肢があります。逆に、事前に一報を入れたうえで理解を得られる見込みが立っているなら、無理に全員の合意を待たずに進めても、今回確認できた範囲では法的な問題にはなりません。反対の温度感を見極めることが、止めるか進めるかの分かれ目になります。

よくある質問

墓じまいは家族に相談しなくても法的に問題ありませんか?

法律上は、名義人(祭祀承継者)本人の意思確認が取れていれば手続きを進められ、直ちに違法になるわけではありません。ただし行政書士のコラムでは、事前に他の親族へ知らせておくことがトラブル予防につながると勧められています(フジ行政書士事務所)。

改葬許可申請に他の親族の同意書は必要ですか?

今回確認できた範囲では、京都市などの自治体で求められているのは名義人本人の委任状・承諾書であり、名義人以外の親族全員の同意書までは通常求められていません。ただし自治体ごとに書式が異なるため、申請前に窓口へ確認することが推奨されます(京都市の申請案内)。

独断で進めて親族に訴えられることはありますか?

独断で進めたこと自体が直ちに違法になるわけではありませんが、行政書士のコラムでは訴訟に発展するリスクはゼロではないと指摘されています。訴えられても相手の請求が当然に認められるわけではないものの、親族関係が修復しにくくなる可能性はあるとされています(フジ行政書士事務所)。

次の一手

ここまで読んで、「一人で決めていいのか」という迷いが、少し整理できたのではないでしょうか。法律はあなたの味方です。名義人であるあなたには、手続きを進める権限があります。同時に、その権限を使うかどうか、いつ・誰に伝えるかを選ぶ権利も、あなたにあります。今日、すべてを決める必要はありません。今日決めるのは、「誰に、いつ伝えるか」だけです。配偶者に一言伝える、次に会う兄弟に切り出す、それだけで十分な一歩です。進め方に不安が残る場合や、複数の業者に相談しながら手続きを進めたい場合は、専門の窓口を頼ることもできます。複数の墓じまい業者に相見積もり|墓じまいパートナーズ費用や手続き全体の流れを先に把握しておきたい場合は、墓じまい・改葬のハブページから関連する記事をまとめて確認できます。石材店側の見積もりを比較したい場合は、【無料】墓石の購入費用を平均37万円安くする見積もり比較という選択肢もあります。

親族ともめずに墓じまいを進める考え方を一冊で整理しておきたい方には、書籍『墓じまい! ―親族ともめない、お寺に搾取されない、穏やかで新しい供養のカタチ―』も参考になります。

参考資料

  • e-Gov法令検索「民法」第897条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 東京弁護士会「祭祀承継者」https://www.toben.or.jp/know/iinkai/houritsuservice/syukatu/post_30.html
  • 公益社団法人全日本墓園協会「墓地の経営・管理に関するFAQ」6. 使用権の承継や失効などに関する問題 https://www.zenbokyo.or.jp/h28kenkyu_faq/index6.html
  • 公益社団法人全日本墓園協会「墓地の経営・管理に関するFAQ」4. 埋蔵・分骨・改葬などを中心とした問題 https://www.zenbokyo.or.jp/h28kenkyu_faq/index4.html
  • 京都市「改葬許可申請の手続について」https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000246769.html
  • 大塚法務行政書士事務所「【改葬許可申請書】取得・記入方法と必要書類」https://ohaka-gyousei.com/kaisou/sinnseisyo.html
  • フジ行政書士事務所「墓じまいで親戚に訴えられる?行政書士が教える法的リスクと円満な進め方」https://fuji-hakazimai.net/2026/02/16/hakajimai-legal-risks/
  • PR TIMES(全国石製品協同組合)「『墓じまい』に関するアンケート調査を実施」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000015761.html
  • 墓じまいパートナーズ「墓じまい実態調査2026」https://hakajimai-partners.jp/research/hakajimai-survey-2026
  • 厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」生活衛生 第6表(改葬数) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=dataset&cycle=8&toukei=00450027&tstat=000001031469&tclass1=000001222480&tclass2=000001222481&tclass3=000001222482&cycle_facet=cycle&result_page=1&tclass1val=0&tclass4val=0&stat_infid=000040217221