屋根の葺き替えと重ね葺き(カバー工法)、費用差はいくら?耐用年数・向き不向きを比較
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屋根の色あせだけでなく、雨漏りや下地の傷みといったサインが出てきて、塗装ではもう対応できない段階に来ていませんか。ここまで進むと選択肢は、既存の屋根材をすべて剥がして新しくする葺き替えか、既存の屋根の上に新しい屋根材をかぶせるカバー工法(重ね葺き)かの二択になります。まだ塗装で延命できる段階かどうか迷っている方は、先に屋根の劣化サインとタイミングの見分け方で確認しておくと判断がぶれません。この記事では、費用相場・耐用年数・屋根材ごとの向き不向きを一次データで比較し、後悔しない工法選びの考え方を整理します。
屋根の工法選びは、まずカバー工法が「使える屋根かどうか」を確認するところから始まります。
- 平均施工費用は葺き替え158.5万円・カバー工法120万円で、カバー工法のほうがおおむね40万円ほど安い(リショップナビ利用者データ)
- カバー工法が使えるのは主にスレート屋根。瓦屋根や下地の腐食がある屋根はカバー工法自体が施工できない
- 今日やることは、現地調査でカバー工法が使える状態かどうかを業者に確認すること
自宅の屋根がどちらの工法に向いているかは、現地調査を受けて初めて分かります。屋根リフォームの見積もりを複数社から取り寄せる
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結論——カバー工法のほうが安いが、選べるかどうかは屋根材と下地の状態で決まる
葺き替えとカバー工法は、単純にどちらが優れているという関係ではありません。葺き替えは既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しく施工し直す工事です。カバー工法は既存の屋根材を撤去せず、その上に防水シートと新しい屋根材を重ねる工事で、主にスレート屋根に用いられます(出典: リショップナビ「屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場と葺き替えがよいケースとは」)。費用だけ見ればカバー工法のほうが平均で40万円ほど安くなりますが、この差額は主に「既存屋根の撤去・処分費が不要」なことによるものです。加えて、瓦屋根や下地が傷んでいる屋根はカバー工法そのものが選べないため、比較を始める前に「自宅がカバー工法の対象になるか」を確認する必要があります。
費用の違い——葺き替え平均158.5万円、カバー工法平均120万円
リショップナビの利用者データによると、葺き替え工事の平均施工費用は158.5万円です。費用の分布を見ると、151万〜200万円が16%、201万〜300万円が29%と、150万円を超える価格帯に半数近くが集中しています。屋根材別の総額目安では、瓦の交換が90万〜250万円、瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えが80万〜200万円などとなっています(出典: リショップナビ「屋根の葺き替え工事の費用相場と施工例」)。一方、カバー工法の平均施工費用は120万円で、実施範囲は50万〜150万円のケースが多く、全体としては60万〜250万円程度に収まることが多いとされています(出典: リショップナビ「屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場」)。差額の主因は、葺き替えで必要になる既存屋根の撤去・処分費(㎡あたり3,000〜6,000円)が、カバー工法では発生しない点にあります。工期も葺き替えが1週間〜10日程度に対し、カバー工法は約5〜14日とやや短めです。工事の流れや見積もりの項目を事前に把握しておきたい方は、住まいのリフォーム&リノベーションがまるごとわかる本のような書籍で確認しておくと、見積書の内容と照らし合わせやすくなります。工事代金は100万円を超えることが多いため、契約時には前払い金の支払いタイミングも合わせて確認しておくと安心です。
比較表で見る——費用・耐用年数・向き不向き・工期
| 項目 | 葺き替え | カバー工法(重ね葺き) |
|---|---|---|
| 平均施工費用 | 158.5万円 | 120万円 |
| 費用の目安幅 | 屋根材により70万〜250万円程度 | 60万〜250万円程度 |
| 工期 | 1週間〜10日程度 | 約5〜14日 |
| 向いている屋根 | 瓦・スレートなど全般(下地から作り直せる) | 主にスレート屋根(瓦は不向き) |
| 耐用年数の目安 | 屋根材に依存(スレート10〜35年・ガルバリウム鋼板20〜40年など) | 20〜25年 |
| 下地の劣化・雨漏りがある場合 | 対応できる(下地から補修する) | 対応できない(下地から傷んでいると施工不可) |
出典: リショップナビ「屋根の葺き替え工事の費用相場と施工例」、リショップナビ「屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場と葺き替えがよいケースとは」
屋根材で選べないケースがある——瓦屋根はカバー工法に不向き
カバー工法を選べるかどうかは、屋根材と下地の状態でほぼ決まります。日本瓦の屋根は瓦特有の波型形状のため、上から新しい屋根材を平らに施工できず、カバー工法にはほぼ対応できません。瓦屋根を新しくする場合は、葺き替えが基本になります。またスレート屋根であっても、既に雨漏りが発生していたり、下地の野地板が腐食していたりする場合は、カバー工法自体が施工不可になります。下地から傷んでいる屋根は、葺き替えでなければ直せません(出典: リショップナビ)。まだ判断がつかない場合は、屋根塗装の費用相場の記事で、塗装で対応できる劣化段階かどうかも合わせて確認しておくと、工事の過不足を防げます。
耐震性への影響——重ね葺きは屋根が重くなる傾向がある
国土交通省 国土技術政策総合研究所(NILIM)は、新築時の耐震設計において「軽い屋根」(金属板葺き・スレート葺きなど)と「瓦葺きなどの重い屋根」とで、建築基準法施行令に基づき必要な壁の量を区分していると説明しています。瓦屋根の場合は、軽い屋根よりも壁の量を増やして耐震性を確保する設計になっています(出典: 国土交通省 国土技術政策総合研究所)。この考え方をふまえると、カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、軽量な金属屋根材を使っても屋根全体の重量は葺き替えより増える傾向にあります。逆に瓦から金属屋根へ葺き替える場合は屋根を軽量化でき、耐震性の面では有利になりうると業界解説では説明されています。ただし、工法の違いが耐震等級にどの程度影響するかを示す公的な定量データは確認できておらず、個別の住宅の耐震性については現地調査を行う建築士・施工店の診断によって判断する必要があります。
葺き替え特有のアスベスト費用と、カバー工法特有の火災保険の注意点
葺き替えは既存の屋根材を撤去するため、屋根材にアスベスト(石綿)が含まれていないかの確認が必要になる場合があります。2022年4月1日から、大気汚染防止法に基づき、請負代金の合計額が100万円以上の改修・解体工事では、施工業者が石綿含有建材の有無について事前調査結果を都道府県等へ報告することが義務づけられています(出典: 環境省)。屋根の葺き替え工事は本体費用だけで100万円を超えることが多いため、この報告義務の対象になる可能性があります。アスベストを含むスレート屋根の撤去には飛散防止対策や専用の処分ルートが必要になり、通常の撤去より費用が上振れすることがあるため、見積書に石綿事前調査費用や特別な処分費が含まれているかを確認しておくと安心です。一方、カバー工法を検討する際に気をつけたいのは火災保険です。台風などの風災で屋根が傷んだ場合でも、カバー工法は「既存屋根の補修」ではなく「新しい屋根を被せる工事」という扱いになりやすく、火災保険の申請ができない可能性が高いという指摘があります(出典: リショップナビ)。火災保険を使って修理したい場合は、工法を決める前に保険適用の可否を業者や保険会社に確認しておく順番が安全です。なお、葺き替え・カバー工法そのものを対象にした全国一律の補助金は今回確認できませんでしたが、耐震改修と合わせて屋根を軽量化する場合は自治体独自の補助金の対象になることがあります。塗装工事向けの補助金については外壁・屋根塗装の補助金の記事で条件を確認してください。
よくある質問
カバー工法は瓦屋根でも使えますか?
瓦屋根はカバー工法にほぼ対応できません。瓦特有の波型形状のため、上から新しい屋根材を平らに施工できないためです。瓦屋根を新しくする場合は、葺き替えが基本になります(出典: リショップナビ)。
雨漏りしている屋根でもカバー工法を選べますか?
既に雨漏りが発生していたり、下地の野地板が腐食していたりする場合は、カバー工法自体が施工不可になります。下地から傷んでいる屋根は、葺き替えでなければ直せません(出典: リショップナビ)。
カバー工法は火災保険を使えますか?
カバー工法は「既存屋根の補修」ではなく「新しい屋根を被せる工事」という扱いになりやすく、風災などによる火災保険の申請ができない可能性が高いとされています。保険での修理を考えている場合は、工法を決める前に保険適用の可否を確認しておく必要があります(出典: リショップナビ)。
次の一手
葺き替えとカバー工法のどちらが向いているかは、費用の比較だけでは決まりません。屋根材の種類、下地の劣化状況、火災保険を使いたいかどうかによって選べる工法自体が変わるため、最終的な判断は現地調査を行う業者の診断が欠かせません。複数社の見積もりを比較する方法を使えば、同じ屋根に対して各社がどちらの工法を提案してくるかを並べて確認でき、工法選びそのものの答え合わせにもなります。屋根リフォームの見積もりを複数社から取り寄せる見積もりを取るときは、費用だけでなく提案された工法の理由もあわせて質問してみてください。リフォーム全般の基礎知識はリフォームの基礎知識のページでまとめて確認できます。
参考資料
- リショップナビ「屋根の葺き替え工事の費用相場と施工例」 https://rehome-navi.com/articles/544
- リショップナビ「屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場と葺き替えがよいケースとは」 https://rehome-navi.com/articles/489
- 国土交通省 国土技術政策総合研究所「Q3.瓦屋根は、重いので住宅全体の耐震性に影響するのでは?」 https://www.nilim.go.jp/lab/hcg/yanegawara/kawara_qa03.htm
- 環境省「4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」 https://www.env.go.jp/press/110648.html


