フリーランスインフラエンジニアの契約書チェック——準委任と請負、新法で何が変わったか
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インフラエンジニアとして常駐案件を探し始めた、あるいは契約書を渡されたばかりという方が多いと思います。「準委任」「請負」の違いが分からないまま署名すると、発注先の社員から日常的に指示を受け続ける「偽装請負」の状態に気づかないまま働いてしまうリスクがあります。この記事では、準委任と請負の違い、フリーランス新法の要点、契約書の確認項目を一次情報から整理します。
準委任と請負の違いは「仕事の完成義務があるか」で、契約書では報酬の発生条件と中途解約時の扱いを最初に確認しましょう。
- 請負は民法632条で仕事の完成を約束し契約不適合責任を負う契約、準委任は民法656条で善管注意義務(644条)を負うにとどまる契約です
- 2024年11月施行のフリーランス新法で、報酬は原則60日以内の支払期日設定と取引条件の書面明示が義務化されました
- 今日やることは、渡された契約書が準委任か請負か、報酬の支払期日が何日以内かの2点を確認することだけです
契約書のどこを見ればいいか判断に迷う場合は、インフラ案件に特化したエージェントに相談する方法もあります。Lindawsで案件と契約条件を相談してみるは現役のインフラエンジニア、またはフリーランスへの転向を具体的に検討している方向けで、副業目的や情報収集段階の方は対象外です(登録・相談は無料)。
準委任と請負、何が違うのか
結論として、両者の違いは「仕事の完成を約束するかどうか」です。請負契約(民法632条)は仕事の完成を約束し、納品物が仕様と異なれば契約不適合責任を負い無償修正等の義務が生じます。準委任契約(民法656条)は完成義務はなく、善管注意義務(644条)を負うにとどまります。IT業界ではシステム運用・保守やコンサル、SES(常駐)型の人月契約の多くが準委任にあたります。
| 請負契約(民法632条) | 準委任契約(民法656条) | |
|---|---|---|
| 報酬の根拠 | 仕事の完成 | 善管注意義務を尽くした業務遂行(644条) |
| 契約不適合責任 | あり(仕様と異なれば無償修正等の義務) | 原則なし |
| 報酬の型 | 完成・引渡し後払いが原則 | 履行割合型・成果完成型の2パターン(648条の2) |
| 中途終了時の報酬 | 既履行部分が発注者の利益になる場合のみ請求可 | 履行割合型は稼働分を請求可能。成果完成型は可分で利益をもたらす場合のみ |
| IT業界での典型 | 納品物のあるシステム開発の受託 | SES常駐・運用保守・コンサルの人月契約 |
2020年の民法改正で明文化された民法648条の2により、準委任には「履行割合型」(稼働に応じ報酬発生)と「成果完成型」(成果に対し報酬発生)の2パターンがあります。見分け方は①対価が労働力の提供か成果物の完成か②契約不適合責任の有無③中途解約時の報酬請求範囲、の3点です。転向を検討している方はインフラエンジニアのフリーランス転向の記事もご確認ください。
常駐案件で気をつけたい「偽装請負」
結論として、常駐先の社員から日常的に業務の指示を受けている場合、契約書の名目にかかわらず「偽装請負」にあたる可能性があります。偽装請負とは、契約形式は請負・準委任でありながら、発注者側の社員が業務の遂行方法・始業終業時間・休憩休日などを直接指示し、労働者派遣と同じ状態になっている違法な状態です。
判断基準は厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号・通称37号告示)です。主な判断ポイントは次の4点です。
- 業務遂行に関する指示を発注者が行っているか
- 始業・終業時間や休憩・休日の指示を発注者が行っているか
- 職場の秩序維持に関する指示を発注者が行っているか
- 受託者の業務遂行が発注者から独立しているか
準委任(SES型・常駐)は労働力の提供が対価のため、発注者側の現場で指示を受けやすく、請負より偽装請負のリスクが相対的に高いとされます。「常駐先の社員から直接指示を受けているか」「勤怠管理の窓口が自社か常駐先か」を契約書と実態の両面で確認する視点が実務上の要点です。個別契約の該当判断は専門家の領域のため、迷う場合は後述の相談窓口を利用してください。
フリーランス新法で何が変わったか
結論として、2024年11月1日施行の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称フリーランス新法)により、発注事業者には取引条件の書面明示と報酬の早期支払いが義務付けられました。適用対象「特定受託事業者」は①個人で従業員なし、または②法人で代表者以外に役員・従業員なし、と定義され、業種を問わずインフラエンジニアも対象です。
発注事業者に義務付けられる主な内容は次のとおりです。
- 取引条件の明示(書面または電磁的方法)。業務の内容・報酬額・支払期日・支払方法・給付を受領した日・業務に従事する場所・業務実施体制・知的財産権の帰属・秘密保持に関する事項の9項目
- 報酬は給付を受領した日から原則60日以内に支払期日を設定・支払うこと
- フリーランス募集情報の的確表示(SNS等での募集時は氏名・所在地・連絡先・業務内容・従事場所・報酬の記載が必要)
契約期間6か月以上の継続的業務委託では、育児介護等との両立配慮、中途解除等の30日前予告が追加義務です。ハラスメント対策の体制整備も基本義務として案内されていますが、全契約共通か6か月以上限定かは資料により表現が揺れ、この記事では断定しません。詳細は公正取引委員会の特設サイト等でご確認ください。
業務委託期間1か月以上には、受領拒否・報酬減額・不当返品・買いたたき等7つの禁止行為も定められています。違反には助言→指導→勧告→命令の順で措置が取られ、勧告に従わない場合は企業名公表、命令違反・検査拒否には50万円以下の罰金です。相談窓口は「フリーランス・トラブル110番」や都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。
案件を相談する前に
結論として、案件紹介サービスにはそれぞれ対象条件があり、自分が当てはまるかを先に確認したほうが近道です。Lindawsはインフラ領域(Linux・Windows・AWS・Azure等)に特化した案件紹介サービスで、単価帯は月65万〜100万円(平均75万円)。対象は現役、または転向を具体的に検討している方に限られ、副業希望や情報収集段階の方は対象外です。当てはまらない場合は無理な登録は不要です。
対象条件に当てはまらない、または複数のエージェントを比較したい場合は、単価・マージン・支払サイトで比較したフリーランスエンジニアのエージェント比較記事や、案件を横断検索できるフリーランスボードもご検討ください。
契約書を受け取ったら確認する6点
結論として、契約形態・報酬・中途解約・指揮命令系統の4種類に整理すると見落としが減ります。
- 契約形態が明記されているか。書かれていなければ先方に確認しましょう。
- 業務内容・成果物の定義。請負なら「完成」の定義、準委任なら業務範囲がどこまで書かれているかを見ます。
- 報酬の支払期日。フリーランス新法の対象なら、給付受領日から原則60日以内が目安です。
- 中途解約の条項。契約期間6か月以上なら、30日前予告の適用有無を確認します。
- 指揮命令系統。常駐案件では勤怠管理の窓口が自社か常駐先かを確認し、37号告示の4点と照らします。
- 秘密保持・知的財産権の帰属。取引条件明示の9項目にも含まれる事項で、成果物の権利の帰属先を確認します。
判断がつかない場合は一人で決めず、次章の相談窓口や、会社員からフリーランスで手取りがどう変わるかのシミュレーション記事もあわせて確認してください。
よくある質問
準委任契約と請負契約、フリーランスエンジニアはどちらを選ぶべきですか?
一概にどちらが良いとは言えません。納品物が明確なシステム開発の受託なら請負、常駐での運用・保守やコンサルティングなら準委任が実務上多い組み合わせです。契約不適合責任を負いたくない、稼働時間に応じた報酬を望む場合は準委任が向くこともあります。契約書の業務内容の書き方を先に確認しましょう。
偽装請負に該当するかどうかは自分で判断できますか?
断定的な判断は専門家の領域です。厚生労働省の37号告示にある4つの判断ポイント(業務遂行・勤怠・職場秩序の指示、業務の独立性)を目安に契約書と実態を照らし合わせることはできます。疑わしい場合は自己判断せず、フリーランス・トラブル110番などに相談してください。
フリーランス新法は個人事業主にも適用されますか?
従業員を使用しない個人事業主であれば業種を問わず「特定受託事業者」として適用対象になります。インフラエンジニアを含むIT系フリーランスも対象で、取引条件の書面明示や報酬60日以内支払いなどの義務が発注事業者側に課されます。
次の一手
契約書の細かい条項に不安を感じるのは、真剣に案件を検討している証拠です。分からないまま署名しないようにしている時点で、すでに正しい方向に動いています。
今日決めるのは「契約書のどこを確認するか」だけで構いません。今回のチェックリストに沿って、手元の契約書を見直してみてください。条件に合う案件を相談したい場合はLindawsのインフラ特化案件を確認してみるという選択肢もあります(現役、または転向を具体的に検討している方向け・登録相談は無料)。手取りの見通しは手取りシミュレーションの記事、そのほかの悩みは副業・独立の情報ハブでも整理しています。
参考資料
- GVA法律事務所「請負・準委任の違い」
- クラウドサイン「準委任契約とは」
- Legal AI Insight「偽装請負とは」
- freee「偽装請負とは」
- 厚生労働省「37号告示(労働者派遣と請負の区分基準)」
- 公正取引委員会・中小企業庁「フリーランス新法パンフレット」
- 厚生労働省「フリーランス新法(取引適正化法)」
- クラウドサイン「フリーランス新法とは」
- マネーフォワード クラウド契約「新法の罰則」
- フリーランス・トラブル110番
- Lindaws公式サイト
数字は2026年8月28日時点で確認した公式サイト・省庁ページの公開情報に基づきます。制度は改正される可能性があるため、契約時は最新情報もご確認ください。


