実家は解体して更地で売るか、古家付きのまま売るか——費用と税金で比べる判断3ステップ

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解体業者の見積もりが思ったより高くて、手が止まっていませんか。壊してしまえば身軽になれるはずなのに、実家を更地にすることには、思い出ごと消してしまうような後ろめたさもつきまといます。ここで焦って先に解体を進めてしまうと、実は損をすることがあります。更地にしてから買い手を探し始めて、あとになって「古家付きのままのほうが有利だった」と気づくケースがあるからです。この記事では、解体するかどうかを感覚ではなく数字で決めるための3つの手順を整理します。

この記事の結論

先に解体を決めないでください。査定と解体見積もりを両方取り、手取り額で比べてから判断するのが安全です。

  • 古家付きは解体費が不要な一方で買い手が限られ、更地は買い手が広がる一方で解体費と税負担が先に出ます
  • 更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れ、負担が数倍程度に増えるケースが多いとされます
  • 今日やることは、査定と解体見積もりを依頼することだけです

まずは今の家の値段を知ることが、比較の出発点になります。査定に費用はかかりません。物件の無料売却査定(訪問査定)を申し込む

結論:先に解体しない。査定と解体見積もりを並べてから決める

実家を売るとき、多くの人は「古くて汚いから、先に壊したほうが早く売れるはずだ」と考えがちです。しかし、古家付き土地と更地のどちらが有利かは、家の状態・立地・買い手の層によって変わり、一律の正解はありません。実際、古家付き土地と更地とで平均の成約価格や売却にかかる期間がどれだけ違うかを示す公的な統計は見当たりません。だからこそ、感覚で解体を決めるのではなく、①不動産会社の査定で今の値段を知り、②解体業者の見積もりを取り、③その両方を並べて手取り額で比較する、という手順を踏むことが、後悔しない一番の近道です。ここまで解体するかどうかを決めきれずにいたとしても、責める必要はありません。多くの方が同じところで立ち止まります。

古家付きのまま売るメリット・デメリット

古家付きのまま売る一番のメリットは、数十万円から百数十万円かかる解体費用の先出しをせずに済むことです(相場は後述します)。固定資産税の住宅用地特例も維持されたまま売却活動を進められるため、税負担が急に増える心配もありません。契約不適合責任を軽くする免責特約を付けられるケースがあるのも実務上のメリットです。

一方でデメリットは、建物の老朽度や見た目の印象が、そのまま買い手候補の数に影響することです。土地本来の形状・高低差・地盤の強さが建物で見えづらくなり、購買対象者が絞られやすくなります。解体費用やリフォーム代を見込んだ指値交渉をされることも珍しくなく、周辺の更地相場より成約価格が下がりやすい傾向があるとされています。買い手として付きやすいのは、解体費用込みで安く買いたい実需層や、再販業者・不動産投資家です。「自分で手を入れる前提で安く買いたい」層に届きやすい売り方といえます。

更地にして売るメリット・デメリット

更地にする一番のメリットは、買い手の層が広がることです。建物の維持管理が不要になり、住宅メーカーや工務店、土地を探す個人まで、幅広い層にアピールしやすくなります。すぐに家を建てたい人には、更地のほうが検討しやすい商品です。

デメリットは、解体費用が売却より先に発生することと、固定資産税の負担です。住宅が建つ土地には住宅用地特例があり、200平方メートル以下の部分は課税標準が価格の6分の1に軽減されています。解体して更地にすると、翌年1月1日の時点で住宅がなければこの特例の対象から外れます。「税額が必ず6倍になる」という単純な話ではなく、負担調整措置によって実際には数倍程度に収まるケースが多いとされていますが、負担が増えること自体は避けられません。売却が長引くほど、増えた税額を負担する期間も延びます。更地の買い手として付きやすいのは、土地としてすぐ使いたい住宅メーカーやデベロッパーです。ただし、更地のほうが必ず高く早く売れると裏づける公的な統計は見当たらず、立地や需要しだいという前提は変わりません。

判断の3ステップ——査定・解体見積もり・手取り比較

迷ったときにやるべきことは、感覚で決めることではなく、3つのステップを順番に踏むことです。すでに複数社の査定を取り終えている方は、1つ目のステップは済んでいますので、次に進んでください。

1つ目は、不動産会社の査定で「古家付きのまま売った場合の今の値段」を知ることです。査定は複数社に依頼して幅を見るのが基本です。

2つ目は、解体業者に見積もりを取り、「更地にする場合にかかる費用」を確認することです。木造住宅の場合、坪単価3万〜5万円程度、30坪であればおおむね90万〜150万円が目安の中心帯ですが、立地や付帯物、処分費によっては200万円前後まで上がることもあります。実際の金額は物件ごとに異なるため、複数社から見積もりを取って比べてください。解体工事の適正価格がわかる「解体工事比較ナビ」を使えば、複数社の見積もりをまとめて比較できます。

3つ目は、2つの数字を手取り額で比較することです。古家付きのまま売る場合の手取りは、想定売却額から仲介手数料などの諸費用を引いた額です。更地にして売る場合の手取りは、想定売却額から解体費用と増えた固定資産税の負担分、仲介手数料などの諸費用を引いた額になります。この型に、査定額と見積額を当てはめれば、どちらが得かが具体的な数字で見えてきます。詳しい解体費用の内訳は解体費用相場の記事で解説しています。

相続空き家の3,000万円特別控除と解体の関係

実家が昭和56年5月31日以前に建てられている場合は、もうひとつ確認すべき制度があります。相続した空き家を売ったときの譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。適用期間は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡で、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売る必要があります。

この制度には、譲渡時に耐震基準を満たしているか、譲渡日の翌年2月15日までに耐震改修または全部の取り壊しをするという要件があります。令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡からは、買主側が期限内に取り壊す場合も対象に含まれるようになりました。つまり、必ず売主が先に解体しなければ使えない制度ではなくなっています。ただし、居住者の有無や売却代金1億円以下といった他の要件も関わるため、個別の適用可否は税理士または税務署に確認してください。制度の詳しい要件や必要書類は相続空き家の3,000万円特別控除を解説した記事で整理しています。

迷ったら、両方の数字を机に並べる——今日やるのは依頼だけ

どちらが正解かは、家の状態・立地・買い手の動き次第で変わります。だからこそ、どちらか一方に決め打ちする必要はありません。今日やることは、査定の依頼と解体見積もりの依頼、この2つだけです。両方の数字が手元に揃えば、迷いは感覚の話から比較の話に変わります。

なお、古家付きのまま買い取ってもらうという第三の選択肢もあります。仲介での売却と業者買取の違いは買取と仲介の違いを整理した記事で解説しています。お住まいの自治体に解体の補助金がないか確認したい方は空き家解体の補助金についての記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

古い家は解体してから売ったほうが高く売れますか?

一概には言えません。更地は買い手の層が広がる一方、解体費用が先に発生し固定資産税の特例も外れます。古家付きと更地の平均成約価格・売却期間の差を示す公的な統計は見当たらないため、査定と解体見積もりを比較して判断することをおすすめします。

更地にすると固定資産税はどうなりますか?

住宅用地特例の対象から外れ、負担が増えます。200平方メートル以下の部分は本来、課税標準が価格の6分の1に軽減されていますが、建物を取り壊すと翌年からこの軽減がなくなります。負担調整措置により実際の税額は数倍程度に収まるケースが多いとされますが、増える点は変わりません。

解体費用ぶんを売却価格に上乗せできますか?

市場の状況次第で、確実に上乗せできるとは言えません。解体費用を差し引いた指値交渉をされるケースもあれば、更地化で買い手が増えて有利に働くケースもあります。上乗せの可否を検証した公的な調査は見当たらないため、査定を取って実際の反応を確認するのが確実です。

次の一手

実家を壊すかどうかは、家族の思い出に関わる話です。数字だけで割り切れるものではないと感じるのは、当然のことです。ただ、迷ったまま時間だけが過ぎると、選べる幅は狭まっていきます。

今日決めることは、解体するかどうかではありません。査定と解体見積もり、この2つを依頼する日を決めることだけです。両方の数字が揃ってから、家族で話し合っても遅くありません。物件の無料売却査定(訪問査定)を申し込むところから、比較を始めてみてください。

参考資料

  • クラモア「古家付き土地と更地、売るならどちらがいい?」: https://kuramore.jp/article/1115/
  • HOME4U土地活用「更地にすると固定資産税はいくら上がる?」: https://land.home4u.jp/guide/land-usage-howto-58-4407
  • 大阪市「固定資産税・都市計画税の住宅用地特例」: https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000239753.html
  • HOME4U「解体費用の相場」: https://land.home4u.jp/guide/land-usage-howto-102-13144
  • クラッソーネ「解体費用の相場」: https://www.crassone.jp/price
  • 国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

この記事は2026年8月時点で確認できた情報にもとづいています。解体費用・固定資産税の実際の金額は物件・自治体・年度によって異なります。税制の適用可否は税理士または税務署に確認してください。