相続した実家・土地は貸せるか——土地活用という選択肢と収支の考え方
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相続した実家や土地について、「売るのはまだ踏ん切りがつかない。でも住む予定もない」と感じている方は少なくありません。そこで次に浮かぶ選択肢が「貸す」、つまり土地活用です。ただ、賃貸住宅か駐車場か、自分の土地で活用が成り立つのかという情報がないまま、検討だけが止まってしまいがちです。何も決めずに時間が過ぎると、管理の手間と固定資産税だけが発生し続け、空き家の状態が長引けば管理不全空き家として住宅用地特例の対象から外れる可能性もあります。ここでは「貸す」の見極め方と、複数の活用プランを比べて判断する手順を整理します。
相続した実家や土地は「貸す」を選択肢にできる場合があります。決め手は立地の賃貸需要と、初期費用に見合う収支の有無です。
- 駅からの距離や周辺施設、人口動向と建物の状態によって賃貸需要の有無が変わります
- 賃貸住宅・駐車場・トランクルームなど活用の種類によって初期費用も収支の作り方も異なります
- 今日やることは、複数社の活用プランと収支見積もりを取り寄せて比べることだけです
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結論:相続した実家・土地は「貸す」を選択肢にできる場合がある
相続した実家や土地を賃貸に出せるかどうかは、主に①賃貸需要(立地)②建物の築年数や傷み具合③リフォーム・建築費用を家賃収入で回収できる見込み④管理できる相続人がいるか、の4点で決まるとされています。まだ手放す決心がつかない方も、とりあえず管理だけ続けている方も、判断を先送りしてきたわけではなく、土地活用は情報を集めてからでないと判断できない性質のものです。ここから、活用の種類・見極め方・比較の軸の順に整理します。売却の選択肢を先に比べたい方は空き家の買取と仲介、どっちが得?もあわせてご覧ください。
土地活用にはどんな種類があるか——賃貸住宅・駐車場・トランクルームの特徴と初期費用感
「貸す」と一口に言っても、建物の使い方によって初期費用も収益性もまったく異なります。代表的な種類を整理します。
- アパート・マンション経営:建築費用の目安は木造で坪単価90万〜120万円前後、利回りは5〜10%程度とされます。空室・家賃下落のリスクや、15〜20年ごとの大規模修繕費用もあります。
- 戸建て賃貸経営:改修せずそのまま貸せれば初期費用を抑えやすく、賃料も比較的高めで収益性・安定性に優れますが、空室になると収入ゼロになる点は他の活用と同じです。
- 駐車場経営:月極駐車場は整地とアスファルト舗装の費用だけで始められ、砂利敷きならさらに費用を抑えられます。利回りの目安は月極5〜8%程度、コインパーキング15〜30%程度です。
- トランクルーム経営:屋外コンテナ型は数百万円程度から始められ、既存建物を改装する屋内型は300万〜600万円程度が目安です。利回りは平均10〜25%程度と、アパート・マンション経営より高めに見積もる解説が複数あります。
- 定期借地:事業者や個人に土地を貸し出す方式で、建物を建てる必要がないため初期費用はほぼかかりません。契約期間が満了すれば更地で返還されるのが基本の形です。
参考までに、ある土地活用会社の試算例では、同じ広さの土地でもアパート・マンション経営4,851万円、戸建て賃貸経営1,050万円、テナント経営1,575万円、月極駐車場120万円、コインパーキング395万円、トランクルーム880万円と、活用の種類によって初期費用の桁が大きく変わります(1社の試算例であり、実際の金額は土地により異なります)。
相続した実家・土地を「貸す」ときに最初に見極めること
活用の種類を決める前に、まず自分の実家・土地で賃貸需要が見込めるか確かめる必要があります。賃貸需要が高いとされる立地条件は主に次の3点です。
- 駅から近いこと
- 近隣にスーパー・学校・病院など生活に必要な施設があること
- 人口が増える傾向にあるエリアであること
建物を活かして貸す場合は築年数と状態も判断材料になり、戸建て築35年、マンション築30年を超えると大規模な改修をしない限り賃貸需要が下がりやすいとされます(1つの不動産会社の解説による目安)。雨漏りや家屋の傾きなど躯体・水回りの損傷が激しい場合は、修理費用が高額になり活用自体が現実的でないケースもあります。
リフォームが必要な場合、築25年・3LDK・延床35坪程度の戸建てでクリーニング・クロス張替え・水回りや給湯器の交換などを行うと200万〜400万円程度になる例があり、インスペクション(建物状況調査)費用は戸建てで10万〜15万円前後が目安です。最初の家賃を受け取るまでは半年〜1年程度を見込んでおきましょう。賃貸需要が乏しい立地なら、無理に活用を検討せず、売却や解体など他の出口を先に比べたほうが早く前に進めることが多いはずです。
活用プランを比較するときに見る軸——初期費用・利回り・契約期間・原状回復
活用の種類が絞れたら、次はプランを比較する段階です。主な軸は初期費用の負担、収益性(利回り)、管理の手間、節税効果の4つです。
見落としやすいのが契約期間と原状回復です。定期借地は契約期間満了で更地返還が基本形で、入居者や利用者の入れ替わり時に原状回復工事の費用が発生するため、長期収支ではこの費用も見込んでおく必要があります。節税効果については、更地に賃貸住宅を建てると固定資産税の軽減措置を受けられ、詳しくは次の章で説明します。
建築費や想定賃料の前提は活用会社・プランで異なり、同じ土地でもA社は賃貸住宅、B社は駐車場を勧めてくることも珍しくありません。1社の提案だけで判断すると、その会社が得意な活用方法に寄った提案だと気づけない上、どの提案も実際の入居率や収益を保証するものではありません。複数社のプランを並べて前提の違いごと比較することが、初期費用や利回りの実態をつかむための実務的な手順です。
「貸す」が成り立たない場合にどうするか——売る・解体するとの比較と固定資産税の関係
賃貸需要が乏しい立地では、空室が続けば家賃収入はゼロになる一方、管理コストと固定資産税は発生し続けます。こうした事情から「貸す」より「売る」「解体する」の出口のほうが現実的になる場合があります。
固定資産税には住宅用地特例があり、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は課税標準が価格の6分の1、超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されます(都市計画税はそれぞれ3分の1、3分の2)。ただし管理不全空き家や特定空家として勧告を受けるとこの特例から外れ、課税標準が通常水準に戻ります。決めないまま放置を続けることは税負担の面でも有利には働きません。詳しい条件と回避策は固定資産税と管理不全空き家についての記事で解説しています。
賃貸需要が見込みにくい立地なら、無理に活用を模索するより売却を早めに比較検討したほうが負担が軽くなることもあります。まず無料の訪問査定で今の売却価格を知っておくと、活用時の収支と売却時の手取りを比較できます。「田舎だから売れない」と決めつけている方は「田舎の実家、売れない」は本当かも参考にしてください。
よくある質問
相続した実家の土地は貸すことができますか?
貸すこと自体は可能です。ただし駅からの距離や周辺施設、人口動向などの立地条件と、建物の状態(築年数や劣化の度合い)によって実際に賃貸需要が見込めるかは変わります。需要が乏しい立地では活用より売却のほうが現実的な場合もあります。
土地活用を始めるのに、初期費用はどれくらいかかりますか?
種類によって大きく異なります。アパートなど建物の新築は数千万円規模になりやすい一方、駐車場やトランクルーム(屋外型)は数百万円程度から始められます。金額は活用会社ごとに前提が違うため、複数社のプランを比較して確認しましょう。
実家を賃貸に出す場合、更地にしてから貸す必要がありますか?
建物を活かして貸す場合、解体は必要なく、リフォームをして貸せる状態にすることが一般的です。更地にするのは駐車場のように建物を伴わない活用を選ぶ場合や、売却で更地渡しを選ぶ場合の話です。「貸す」を選ぶなら、まず建物の状態を確認しリフォームが必要かどうかを検討することが先になります。
次の一手:今日やることは、1社に決めずに複数社のプランを並べて比べること
「貸す」か「売る」か、まだ決められなくても構いません。今日決めるのは、活用の方向に進めるかを判断する材料を集めることだけです。今のままでは管理の手間と固定資産税が積み重なっていきますが、大きな決断を今日する必要はありません。
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参考資料
- 不動産売却マイスター「実家を賃貸に出す」解説
- 相続の窓口「相続した家を賃貸に出す」解説
- 加瀬の不動産活用「土地活用の比較」コラム
- エリアリンク トランクルーム経営コラム
- とうけん(東建コーポレーション)駐車場経営コラム
- HOME4U 土地活用シミュレーション例
- 大阪市「固定資産税・都市計画税の住宅用地特例」
- 国土交通省 空家法関連情報(管理不全空家等・特定空家等)
土地活用の初期費用・利回りに関する公的な統一統計は見当たらず、この記事の数字はいずれも不動産会社・活用会社の解説や試算例に基づいています。実際の収支は土地の条件によって変わるため、具体的な金額は活用会社の提案や現地調査で確認してください。この記事は2026年7月時点で確認できた情報に基づいています。


