引き止められた時の断り方——退職の意思を伝えて強く引き止められたらどうする
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「辞めます」と伝えたのに、上司から「困る」「後任が見つかるまで待ってほしい」と強く引き止められ、次にどう答えればいいのか分からないまま、また出社する朝を迎えていないでしょうか。退職代行を利用した人にその理由を尋ねた調査では、最も多い回答が「引き留められた(引き留められそうだ)から」で約4割を占めています(出典: マイナビキャリアリサーチLab「退職代行サービスに関する調査レポート」2024年)。引き止めに困っているのは、あなただけではありません。この記事では、引き止めの典型的な手口とその法的な扱い、そのまま使える断り方の文例、それでも解決しないときの相談先までを整理します。
引き止めの典型パターン——人手不足・後任なし・条件提示
退職の意思を伝えたときに返ってくる引き止めには、いくつかの決まったパターンがあります。法律事務所や人事の解説記事が挙げる代表例は次のとおりです(出典: ベリーベスト法律事務所/カオナビ人事用語集)。
- 後任が見つかるまで退職を認めない
- 辞めるなら今月の給料や退職金を支払わない
- 離職票を発行しない
- 懲戒解雇にすると告げる
- 有給休暇の消化を認めない
- 辞めたら損害賠償を請求すると告げる
このほかに、昇給や異動といった条件を提示して「考え直してほしい」と引き止められるケースもあります。どのパターンで来られても、まず押さえておきたいのは、退職を続ける・続けないを最終的に決めるのは誰か、という土台の部分です。
退職の自由は法律で守られている——民法627条と2週間ルール
期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条1項により、労働者はいつでも退職の申し入れができ、申し入れの日から2週間が経過すれば雇用は終了するとされています(出典: Wikibooks 民法第627条/マネーフォワード クラウド契約)。ここに会社の同意や承諾という条件は入っていません。「認める・認めない」を会社が決める話ではなく、あなたが申し入れた時点で、2週間後の退職に向けて時計が進み始めるということです。
契約社員など期間の定めがある雇用でも、やむを得ない事情があれば契約期間中に解約できるという条文があります(民法628条)。ただし何が「やむを得ない事情」にあたるかは個別の判断になるため、契約社員の方は一律に断定せず、状況に応じて確認することをおすすめします。
「人手不足だから」「給与は払わない」引き止めが通らない理由
「人手不足だから」「後任の目処が立つまで」という引き止めは、退職を止める法的な理由にはなりません。労働者には退職の自由があるため、退職後に人手が足りなくなったことを理由に会社があなたへ損害賠償を請求することも、原則としてできません。法的にできない請求をちらつかせて引き止めること自体が問題だとされています(出典: ベリーベスト法律事務所)。
「辞めるなら今月の給料は払わない」という発言も同様です。賃金は全額を支払うことが労働基準法24条で定められており、違反すれば会社側に30万円以下の罰金が科される可能性があります(出典: 咲くやこの花法律事務所/ジンジャー)。離職票の未発行や有給消化の拒否も、あなたが我慢すべき理由にはなりません。
まれに、話し合いの範囲を超えた強要に発展するケースもあります。労働基準法5条は暴行・脅迫・監禁など不当な手段で労働を強制することを禁じており、違反した場合の罰則は労働基準法の中でもっとも重い水準です(出典: HR NOTE/ジンジャー)。ここまでの事態は稀ですが、恐怖を感じるほどの引き止めが続くようであれば、それは我慢を続ける理由にはなりません。
条件提示(昇給・異動)をされたら、いったん立ち止まる
「給料を上げるから」「部署を異動させるから」と条件を提示されると、心が揺れるのは自然なことです。ただ、ここで思い出してほしいのは、あなたが辞めたいと思った理由が、その条件で本当に解決するかどうかです。人間関係や働き方、キャリアの方向性が理由だった場合、昇給や異動だけでは根本の理由が変わらないことも少なくありません。条件提示を受けるかどうかは、その場の空気ではなく、辞めたいと思った理由に立ち返って決めてください。
具体的な断り方——同じフレーズを繰り返すだけでいい
引き止めに対して、相手を論破したり、長い理由を説明したりする必要はありません。基本のフレーズはひとつです。
「お気持ちはありがたいですが、退職の意思は変わりません」
これを、聞かれるたびに同じ言葉で繰り返します(出典: キャリアリブート/トップコート国際法律事務所)。感情的に反論しようとすると、そこが交渉の糸口にされてしまいます。穏やかな態度のまま、同じ答えを返すことが有効だとされています。
場面別の言い方も用意しておくと、とっさのときに崩れません。
- 待遇改善を提示されたとき:「ご配慮いただきありがとうございます。しかし、私の退職の意思は変わりません」
- 退職時期の延期を求められたとき:「引き継ぎの準備を進めていますので、〇月〇日に退職させていただきます」
すでに退職届を渡している場合は、日付をあいまいにしないことが効きます。「もう決めたこと」として話すほど、引き止めの糸口は減っていきます。それでも退職届を受け取ってもらえないときは、内容証明郵便で送付すれば、会社が受理しなくても法的な効力は生じるとされています(出典: キャリアリブート/Jump-Ship)。
それでも解決しないとき——相談窓口と退職代行という選択肢
繰り返し伝えても引き止めが収まらない、有給消化や退職日の話し合いが進まないというときは、一人で抱え込まず外部に相談してください。全国の労働局・労働基準監督署には「総合労働相談コーナー」が378か所設置されており、利用は無料、予約も不要です(出典: 厚生労働省)。専用のフリーダイヤルは労働局ごとに番号が異なるため、最寄りの労働局のページから検索して連絡してください。有給消化を拒否されている場合も、労働基準監督署への相談が会社への指導につながる可能性があります。
自分の口でこれ以上やり取りしたくない、という状態まで来ているなら、退職代行という選択肢もあります。ただし代行にも種類があり、会社と「交渉」できるのは労働組合型と弁護士型だけで、民間型は意思を伝えるところまでしかできません。有給消化や退職日の調整まで含めて任せたいなら、権限のあるタイプを選ぶ必要があります。タイプごとの違いは退職代行はどれを選ぶ?弁護士・労組・民間3タイプの違いと失敗しない選び方で詳しく整理しています。
依頼先の例として、性別特化で運営される労働組合提携のサービスがあります。男性なら専門だから確実に退職できる「男の退職代行」、女性なら女性の退職代行【わたしNEXT】
が、それぞれLINEでの無料相談を受け付けています。まずは状況を話すだけでも構いません。
代行を使って退職が決まったあとは、離職票の受け取りや保険の切り替えなど、やることがいくつか残ります。全体の流れは退職代行を使った後の手続き一覧にまとめています。
次の一手
引き止められて心が揺らぐのは、あなたが不誠実だからではありません。むしろ、それだけ会社に必要とされてきた証拠でもあります。ただし、あなたの人生の責任は、会社の人手不足より重いものです。埋め合わせは会社の仕事であって、あなたが背負うものではありません。
今日、すべてを決着させる必要はありません。まずは、次に引き止められたときに使う一言だけ決めておきましょう。「お気持ちはありがたいですが、退職の意思は変わりません」。この言葉を、いつ・誰に向けて言うか、それだけ今日決めてしまえば十分です。
一人で伝え続けるのがつらいと感じたら、男性は専門だから確実に退職できる「男の退職代行」の匿名の無料相談から、状況を話してみてください。
参考資料
- マイナビキャリアリサーチLab「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」
- 民法第627条(Wikibooks 条文/マネーフォワード クラウド契約 解説)
- ベリーベスト法律事務所(退職の引き止め・在職強要と法的な扱い)
- カオナビ人事用語集(退職の引き止めパターン)
- 咲くやこの花法律事務所/ジンジャー(労働基準法24条・賃金全額払いの原則)
- HR NOTE/ジンジャー(労働基準法5条・強制労働の禁止)
- キャリアリブート(引き止めの断り方の文例)
- トップコート国際法律事務所(退職の自由・引き止めへの対応)
- Jump-Ship(内容証明郵便による退職の意思表示)
- 厚生労働省(総合労働相談コーナーの設置状況)

