退職届と退職願の違い——書き方・出すタイミング・受け取ってもらえないときの対処
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退職すると決めたのに、「退職届と退職願、どっちを書けばいいのか」で手が止まっていないでしょうか。いつ・誰に・どう渡すのが正式なのかも分からないまま、提出の日だけが近づいてきます。実はこの2つは、あとから撤回できるかどうかが変わるとされる別物で、違いを知らずに退職届を出すと、会社に届いた後は原則撤回できないとされています。この記事では、2つの書面の違いと書き方、出す順序、受け取ってもらえないときの対処までを整理します。
退職願は退職を願い出る書面で、会社の承諾前なら撤回できる余地があります。退職届は退職を通告する書面で、会社に届いた後は原則撤回できないとされています。
- 一般の会社員が「辞表」を使うのは誤り。役員や公務員向けの書面です
- 書面より先に、直属の上司へ口頭で伝えるのが実務上の順序です
- 今日やることは、就業規則の退職規定(予告期間と所定様式)の確認だけです
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退職願と退職届の違い——「お願いする書面」と「通告する書面」
退職願は会社に退職を願い出る書面、退職届は退職の意思を一方的に通告する書面、と一般に整理されています。実務上の最大の違いは、出した後に撤回できるかどうかです。
| 書面 | 性質 | 撤回 |
|---|---|---|
| 退職願 | 合意による退職の「申込み」。会社の承諾で退職が確定するとされる | 承諾前であれば撤回できる余地があるとされる |
| 退職届 | 退職の一方的な意思表示(通告)。会社の承諾は不要とされる | 会社に到達した後は原則撤回できないとされる |
| 辞表 | 会社役員(取締役等)や公務員が使う書面 | 一般の会社員は使わない |
退職届が撤回できないとされるのは、意思表示は相手に到達した時点で効力を生じるという考え方(民法97条・到達主義)によります。ただし、書面のタイトルだけで性質が機械的に決まるわけではなく、「退職願」と題した書面でも文面や状況次第で一方的な意思表示と解釈される場合があるとされています。
どちらを出せばいい?——相談しながら進めるなら退職願、退職日を確定させるなら退職届
使い分けの目安は、円満退職を目指して会社と相談しながら進めるなら退職願、退職日を確定させて確実に辞めるなら退職届、というのが転職メディアの解説で共通する整理です。
ただし、その前に就業規則を確認してください。提出する書類の種類や所定のフォーマット、申し出の期限が定められている場合は、まず会社の様式に従うのが基本とされています。強く引き止められそうな見込みがあるなら、退職届で退職日を明示する選び方になります。
出すタイミングと順序——書面より先に、口頭で直属の上司へ
正式な順序は「口頭が先、書面は後」です。いきなり退職届を突きつけるのではなく、まず直属の上司に口頭で伝え、退職日の合意後に書面を出す流れが実務上の慣行とされています。
- 直属の上司にアポイントを取る(用件は「ご相談したいことが」程度に留める)
- 口頭で退職の意思を伝える(この時点で書面は不要)
- 退職日を確定させ、就業規則・会社の指示に従って退職願または退職届を提出する
- 上位役職者や人事へは、上司経由で伝わるのを待つ
直属の上司を飛ばして役員や人事に先に伝えるのはマナー違反とされています。時期は、法律上は2週間前の申し入れで足りるとされますが(民法627条1項)、引き継ぎを考えて退職希望日の1〜3か月前に伝えるのが一般的とされています。就業規則に「1か月前まで」等の定めがある場合、民法が優先するという見解が有力とされる一方で争いの余地もあるため、円満退職を目指すなら就業規則の予告期間に沿うのが現実的です。
切り出す場面を想像するだけでつらい、という方の悩みは仕事を辞めたいのに言えないのは甘えじゃないで、伝えた後の引き止め対応は引き止められた時の断り方で整理しています。
書き方と封筒——用紙・構成・本文の定型文
用紙はB5またはA4の白い無地の便箋で、縦書きが慣例です(横書きも可とする解説が主流。手書き・パソコンのどちらでも構いません)。縦書きの構成は次のとおりです。
- 1行目: 「退職願」または「退職届」
- 2行目の下詰めで「私儀(わたくしぎ)」
- 本文(下の定型文)
- 提出日(縦書きでは漢数字が一般的)
- 所属部署・氏名・捺印
- 会社の正式名称と代表者名(宛名は社長が一般的。敬称は「殿」または「様」。自分の名前より上の位置に書く)
本文は定型文で足ります。自己都合の場合、理由は詳細を書かず「一身上の都合」とするのが慣例です。
退職願:「私儀 一身上の都合により、来る◯年◯月◯日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」
退職届:「私儀 一身上の都合により、来る◯年◯月◯日をもって退職いたします」
願い出るか、言い切るか。本文の一文にも性質の違いがそのまま表れます。
封筒は白無地・郵便番号枠なし(B5用紙なら長形4号、A4用紙なら長形3号)。用紙は三つ折りにして入れ、表面中央に「退職願」または「退職届」、裏面左下に所属部署と氏名を書きます。手渡しの場合はのり付け不要で、封字の「〆」は郵送するときに書きます。
受け取ってもらえないときの対処——受け取り拒否で退職は止められない
会社に退職を拒否する権限はなく、退職届の受け取りを拒否・無視されても、退職の意思表示の効力は妨げられないとされています。対処は段階を踏んで進めます。
まず、上司より上位の役職者や人事部門に直接提出する方法があります。それも難しければ、内容証明郵便での送付が実務上有効とされています。内容証明は「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明する制度で、配達証明を付ければ「いつ会社に届いたか」も証明できます。受取拒否をされても、相手の支配圏に入った時点で到達したと判断されるのが一般的な解釈とされ、到達から2週間の経過で退職の効力が生じるとされています。費用は窓口で1,070円から、ネットから出せるe内容証明なら1,295円からです(日本郵便・謄本1枚の場合)。
ただし、内容証明自体に退職を成立させる特別な効力はなく、意思表示の到達とその日付の証拠を残す手段です。「送れば必ず2週間で辞められる」と断定できるものではありません。
退職を巡るトラブルが続くようなら、厚生労働省の総合労働相談コーナー(全国379か所・2026年7月時点)が、無料・予約不要で相談に応じています。
それでも解決しない、会社とのやり取り自体が限界という場合の選択肢が退職代行です。ただし、口頭で伝えられて書面も受け取ってもらえる見込みがあるなら、代行は不要です。依頼する場合、退職日や有休消化の「交渉」までできるのは弁護士と労働組合だけで、民間業者の交渉は弁護士法72条の非弁行為に該当し得るとされています。違いは弁護士・労組・民間3タイプの選び方で、費用は退職代行の料金相場で整理しています。女性であれば、女性専門の労働組合運営サービスもあります。女性の退職代行【わたしNEXT】
契約社員など有期雇用の場合——出口は一つではない
期間の定めのある雇用では2週間ルールがそのまま使えない代わりに、出口は複数あります。まず、契約期間の満了で更新しない選択は途中解約ではないため、この論点自体が生じません。
期間の途中で辞めたい場合は、民法628条により「やむを得ない事由」があるときは直ちに契約を解除できるとされています。病気やケガ、家族の介護、ハラスメント被害などが該当し得るとされますが、判断は個別性が高いため、総合労働相談コーナーや弁護士など専門の窓口で確認してください。また、契約期間が1年を超える有期労働契約では、初日から1年を経過すればいつでも退職できるという規定もあります(労働基準法附則137条。一部の例外あり)。会社と合意して退職日を決める道もあり、有期だから辞められない、ということではありません。
よくある質問
退職届を出した後に撤回できますか?
原則難しいとされています。退職届は会社に到達した時点で効力が生じる一方的な意思表示と扱われるのが一般的で、到達後の撤回は原則できないとされます。退職願は会社の承諾前なら撤回の余地があるとされますが、誰が承諾権限者かは争いになることがあります。迷いが残る段階では、言い切りの退職届を出さないのが無難です。
退職届は2週間前に出せば辞められますか?
期間の定めのない雇用では、民法627条1項により申し入れから2週間の経過で雇用が終了するとされ、会社の同意は要件ではありません。ただし就業規則に「1か月前まで」等の定めがある場合の優先関係には見解の争いがあるとされるため、円満退職を目指すなら就業規則の予告期間に沿って早めに伝えるのが現実的です。
退職代行を使うと会社と直接やり取りせずに辞められますか?
退職の意思は代行が会社に伝えるため、自分で上司と話す場面は基本的にない仕組みです。直近1年間に転職した人の16.6%が退職代行を利用しており(マイナビキャリアリサーチLab 2024年)、特別な手段ではなくなっています。ただし退職日や有休の交渉までできるのは労働組合型と弁護士型のみとされます。
次の一手
書面の名前ひとつで立ち止まっていた自分を、情けないと思う必要はありません。撤回の可否が変わるとされる以上、出す前に調べたのは軽率どころか、正しい慎重さです。
今日やることは2つだけです。就業規則の退職の項目を開いて、予告期間と所定様式の有無を確認する。そして、相談しながら進めるなら退職願、日付を確定させるなら退職届、と自分の書面を決める。「いつ上司に切り出すか」——その日付だけ、今日決めてしまいましょう。
もし「受け取ってもらえない」「自分で出せる状態ではない」なら、退職の通知から任せられる労働組合運営の代行サービスがあります。労組型のため有休消化などの交渉まで任せられるとされ、料金や返金保証の条件は公式サイトで確認できます。まず相談から始めてください。専門だから確実に退職できる「男の退職代行」
参考資料
- e-Gov法令検索 民法(97条・627条・628条)/労働基準法附則137条(東京都労働局資料)
- あゆさわ社労士・行政書士事務所/契約ウォッチ(退職願・退職届の法的性質と撤回)
- 新銀座法律事務所/リーガル・ステーション(退職届の到達と撤回の扱い)
- マイナビ転職「退職届・退職願の書き方」(用紙・構成・封筒マナー)
- doda/マイナビ転職エージェント/転職Hacks(退職を伝える時期と順序の慣行)
- ベンナビ(退職届の受け取り拒否への対処)
- 労働問題弁護士ガイド(浅野総合法律事務所)(内容証明による退職の意思表示と到達)
- 日本郵便(内容証明・e内容証明の料金)
- 厚生労働省(総合労働相談コーナーの設置状況)
- マイナビキャリアリサーチLab「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」
- ベンナビ労働問題(弁護士法72条・非弁行為の論点)
- 連合 労働相談Q&A/アディーレ法律事務所(有期雇用の途中解約・やむを得ない事由)


