個人事業主の節税「小規模企業共済」とは?掛金・受取り・確定申告での使い方
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個人事業主の退職金制度「小規模企業共済」を調べ始めたものの、加入資格や掛金、デメリットが分からず、確定申告のたびに後回しにしていないでしょうか。小規模企業共済は中小機構が運営し、掛金は全額が所得控除の対象です。知らずに今年も申告を終えれば、使えたはずの控除を1年分逃します。この記事では加入資格・掛金・受け取り方・デメリット・確定申告の書き方を一次情報で整理します。
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員が掛金を積み立て、廃業・退職時に退職金として受け取れる国の共済制度です。
- 運営は中小機構。掛金は月1,000〜70,000円で全額が所得控除の対象です(国税庁)
- 加入できるのは個人事業主・共同経営者・小規模企業の役員のみで、業種ごとの従業員数要件があります
- 今日確認することは、自分が従業員数要件に当てはまるかどうかだけです
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小規模企業共済は「自分で作る退職金」——制度の位置づけ
個人事業主にとっては、会社員の退職金にあたる資金を自分で準備できる数少ない制度の一つです。小規模企業共済は、退職金制度を持たない個人事業主・小規模企業の経営者が、自分で退職金を積み立てる国の共済制度です。運営は独立行政法人 中小機構(中小機構は国の機関)。
令和7年3月末現在、在籍者数は約169万人、資産運用残高は約11兆9,195億円です。2022年3月時点では約159万人だったことと比べると、加入者は増加傾向にあります。令和6年度の支給実績は支給額合計約6,041億円・平均支給額1,144万円・平均在籍年数約18年です(中小機構)。契約者は掛金の範囲内で事業資金の貸付制度(7種類)も利用できます。
加入できる人・できない人
加入できるのは①個人事業主②共同経営者(最大2人)③会社等役員の3区分で、業種により従業員数の上限が決まります(中小機構)。
| 業種 | 従業員数の上限 |
|---|---|
| 建設業・製造業・運輸業・不動産業・農業等、宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業)およびそれ以外のサービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
カウントは正社員のみで、役員・家族従業員・パート・アルバイトは除外されます。給与所得者(兼業サラリーマン)、未登記の実質経営者、中退共の被共済者、生保外務員、学生、外国法人役員、NPO・医療法人等の役員、使用人兼務役員は加入できません。開業直後の方は開業届・青色申告の整理も確認しておくと判断しやすくなります。加入前に自分の業種と従業員数を確認しておくと、資格喪失の心配をせずに済みます。
加入時の従業員数要件は加入時点の判定で、後に超えても契約は継続します。資格を満たさない加入が判明した場合は契約が遡って取り消され、掛金は返還されます。
掛金はいくらにすべきか——月1,000〜70,000円の範囲と全額所得控除の効果
掛金月額は1,000〜70,000円の範囲で500円単位に設定でき、月1回に限り増減額もできます(増額は70,000円まで、減額は1,000円まで)。前納すると前納減額金を受け取れます(中小機構)。前納の割引率は年によって変わることがあるため、加入時に中小機構公式サイトで確認してください。
支払った掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象です。対象は①共済契約掛金(旧第二種を除く)②確定拠出年金の加入者掛金③心身障害者扶養共済制度掛金の3種類です(国税庁No.1135)。ただし掛金は本人の収入から納付するもので、必要経費には算入できません。そのため、赤字の年は控除の効果を十分に活かせない場合がある点も覚えておくとよいでしょう。
資金繰りに余裕がなければ、無理に上限まで掛ける必要はありません。最低1,000円まで減額できるため、小さく始めて増額する選択もできます。
受け取り方——共済金の種類(廃業・退職・老齢)と受取額の決まり方
| 種類 | 個人事業主の事由 | 会社役員の事由 |
|---|---|---|
| 共済金A | 廃業・死亡 | 会社解散 |
| 共済金B | 65歳以上・180か月以上納付(老齢給付、就業継続可) | 65歳以上退任・病気怪我退任・死亡・老齢給付 |
| 準共済金 | 法人成りによる資格喪失・事業譲渡による廃業 | — |
| 解約手当金 | 任意解約・12か月以上の滞納解約 | 同左 |
会社役員と個人事業主とでは請求できる事由が異なるため、自分の立場でどれに該当するかを事前に確認しておくと安心です。税制上の扱いも受け取り方で変わります。一括受取は退職所得、分割受取は公的年金等の雑所得、併用は一括分が退職所得・分割分が雑所得です。遺族受取はみなし相続財産、65歳以上の任意解約は退職所得、65歳未満の任意解約は一時所得扱いです(中小機構)。共済金額は基本共済金と付加共済金の合計で決まります。会社役員の請求事由の細部は請求時に公式サイトで確認してください。
デメリットも知っておく——12か月未満の解約・任意解約時の元本割れ
注意点は2つです。掛金納付12か月未満の解約は掛け捨てになる点と、任意解約(解約手当金)は納付月数240か月(20年)未満だと元本割れする点です。
| 納付月数 | 支給率 |
|---|---|
| 12〜83か月 | 80.00% |
| 84〜89か月 | 80.50%(以降6か月ごとに0.75pt上昇) |
| 120〜125か月 | 85.00% |
| 180〜185か月 | 92.5% |
| 240〜245か月 | 100.00%(元本相当) |
| 246〜251か月 | 100.25%(以降6か月ごとに0.25pt上昇) |
| 480か月以上 | 110.00%〜120.00% |
納付した掛金に対して100%以上を受け取れるのは240か月(20年)以上からです。「245か月」ではなく「240か月」が正しい区切りです(中小機構)。加入から日が浅いうちに資金が必要になり、任意解約せざるを得ない場合は、掛け捨てや元本割れのリスクがあることを理解しておく必要があります。
この元本割れルールは任意解約のみに適用され、廃業・会社解散・病気怪我退任・65歳以上退任・死亡による共済金(A・B・準共済金)は対象外です。また一括受取りは退職所得控除が適用されるため、給与のように全額課税されるわけではありません。掛金は月1回減額できるため、無理のない金額で始められます。
確定申告での書き方——小規模企業共済等掛金控除の記載箇所
掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として、確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」欄に記入し、第二表の該当欄に内訳を記載します。
申告時は中小機構発行の「掛金払込証明書」の添付・提示が必要です。年末調整で控除を受ける給与所得者は「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して勤務先に提出すれば確定申告での添付は不要です(国税庁)。請求書や入金管理を自分で行っている方は個人事業主の請求書・入金管理の実務も確認しておくと申告がスムーズです。
掛金を入力しておけば控除額の計算はクラウド会計ソフトが自動で反映します。
よくある質問
小規模企業共済とは何ですか?
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員が掛金を積み立て、廃業・退職時に退職金として受け取れる、国の機関である中小機構が運営する共済制度です。掛金は月1,000〜70,000円の範囲で自由に設定でき、全額が所得控除の対象になります(中小機構・国税庁)。
小規模企業共済にデメリットはありますか?
掛金納付12か月未満で解約すると掛け捨てになり、任意解約(解約手当金)は納付月数が240か月(20年)未満だと元本割れします。金額は所得控除になりますが必要経費にはならない点にも注意が必要です。廃業や65歳以上退任など正当な事由による受け取りはこのルールの対象外です(中小機構)。
小規模企業共済の掛金は確定申告でどう書きますか?
確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」欄にある「小規模企業共済等掛金控除」に、その年に支払った掛金の合計額を記入し、第二表にも内訳を記載します。中小機構発行の「掛金払込証明書」の添付・提示が必要です。年末調整で控除を受ける給与所得者は、確定申告での添付は不要です(国税庁)。
次の一手
調べるほど選択肢が増えて余計に迷う、という声もよく聞きます。焦って全部を一度に決める必要はありません。退職金制度がない不安を後回しにしてきたのは、確定申告や実務に追われていただけで仕方のないことです。
今日やることは、加入資格の従業員数要件に自分が当てはまるか確認することだけです。当てはまれば掛金は最低1,000円から始められ、資金繰りに合わせて増減もできます。小さく始めて、状況に応じて掛金を見直していく方法もあります。加入するかどうかは今日決めなくて構いません。「いつ確認するか」だけ、今日決めましょう。掛金の管理や確定申告の準備には、無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告
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参考資料
- 中小機構「小規模企業共済制度の紹介」
- 中小機構「小規模企業共済とは」
- 中小機構「小規模企業共済の現況」
- 中小機構「加入資格」
- 中小機構「掛金について」
- 中小機構「共済金等請求・解約」
- 中小機構「解約手当金について」
- 中小機構「小規模企業共済のデメリット」
- 国税庁タックスアンサーNo.1135「小規模企業共済等掛金控除」
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー
数字は2026年7月時点の中小機構・国税庁の公式情報に基づきます。制度改定の可能性があるため、加入時は公式サイトで最新情報をご確認ください。税制上の扱いは個々の状況で変わるため、詳細は税理士にご確認ください。


