実家の土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度——建物付きだと総額いくら?面積別の負担金を計算

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実家の土地を、お金を払ってでも手放したい。そう考えて「国に引き取ってもらう制度」にたどり着いたものの、建物が建っていて、いくらかかるのか見当がつかない。多くの方が同じところで立ち止まります。手が回らなかったのは、怠けていたからではありません。

先に一つだけ知っておいてほしい事実があります。この制度は、建物がある土地は申請できません。つまり実家は先に解体する必要があり、その費用が先に出ていきます。しかも更地にすると、固定資産税の特例が外れて税額が上がることがあります。

この記事では、法務省の資料にある計算式から、土地の面積別に負担金を計算します。そのうえで解体費などを足した総額を、仮の条件で示します。

この記事の結論

建物付きの実家は、解体して更地にしないと申請できません。市街化区域の土地100㎡・解体費120万円と仮定すると、総額は約176万円です。

  • 負担金は土地の区分と面積で決まり、市街化区域の宅地100㎡なら548,000円(条文の式で計算)
  • 市街化区域の外なら、面積にかかわらず負担金は20万円
  • 今日やることは、固定資産税の納税通知書で土地の面積を確認することだけ

国に引き渡す前に、そもそも売れる土地かどうかを確かめておくと、負担金も解体費も払わずに済む可能性が残ります。まずは値段を知るところから始められます。物件の無料売却査定(訪問査定)を申し込む

建物付きの実家は、解体してからでないと申請できない

相続土地国庫帰属制度では、建物がある土地は申請自体ができません(法務省、2026年10月時点)。2023年4月27日に始まった制度で、相続または相続人への遺贈で土地を取得した人が対象です。共有の場合は共有者全員で申請します。

建物のほか、担保権付きの土地、通路や墓地など他人の利用が予定されている土地、土壌汚染のある土地、境界が不明な土地も申請できません。

流れは、承認申請、審査(実地調査あり)、承認、負担金の納付、国庫帰属の順です。標準的な処理期間は8か月とされています。帰属が済むまでの間は、所有者として固定資産税の負担が続く点も頭に入れておいてください。個別の扱いは市区町村に確認します。

負担金は「土地の区分」と面積で決まる

負担金は、10年分の土地管理費に相当する額を、承認後に一度だけ払うものです。法務局から通知を受けて30日以内に納めないと、承認は失効します。

実家の宅地の場合、金額を分けるのは、土地が市街化区域内(区域区分のない都市計画区域では用途地域内)にあるかどうかです。外にあれば、面積にかかわらず20万円です。内にあれば、施行令第4条の式で面積ごとに計算します。千円未満は切り捨てです。

土地の面積 計算式(市街化区域内の宅地) 負担金
30㎡(約9坪) 30×4,070円+208,000円 330,000円
50㎡ 50×4,070円+208,000円 411,000円
100㎡(約30坪) 100×2,720円+276,000円 548,000円
120㎡(約36坪) 120×2,450円+303,000円 597,000円
200㎡(約60坪) 200×2,450円+303,000円 793,000円
300㎡(約91坪) 300×2,250円+343,000円 1,018,000円
500㎡(約151坪) 500×2,110円+399,000円 1,454,000円

この表は、法務省が公開する施行令の算定式を使って編集部が計算した例です。法務省の概算例でも、市街地の宅地は100㎡で約55万円、200㎡で約80万円とされ、表の数字と整合します。

面積が大きくなるほど総額は上がりますが、1㎡あたりの負担は下がる仕組みです。同じ実家でも、市街化区域かどうかで負担金が20万円と約55万円(100㎡の場合)に分かれます。区域は市区町村の都市計画課で確認できます。なお、農地と森林には別の算定表があるため、この記事では扱いません。

解体費と審査手数料を足した総額を計算する

実際に払う総額は、解体費、審査手数料、負担金の合計です。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、申請時に収入印紙で納めます。不承認や却下になっても返りません。

解体費は、木造30坪で90万〜150万円が中心帯とされ、立地や付帯物、処分費で200万円前後まで上がることもあります(HOME4U土地活用、クラッソーネ、2026年8月調査)。建物の解体後は、1か月以内の建物滅失登記も必要です。自分で申請すれば実費は1,000〜3,000円程度、土地家屋調査士に頼むと概ね5万円程度です。詳しくは空き家を解体した後の建物滅失登記の期限と費用にまとめています。

以下は、すべて仮の条件で足し算した例です。実際の金額は土地と建物の条件で変わります。

仮の例 条件(仮定) 解体費 審査手数料 負担金 総額
A 市街化区域・100㎡・木造30坪 1,200,000円 14,000円 548,000円 1,762,000円
B 市街化区域外・300㎡・木造30坪 1,200,000円 14,000円 200,000円 1,414,000円
C-1 市街化区域・100㎡・解体費が安い場合 900,000円 14,000円 548,000円 1,462,000円
C-2 市街化区域・100㎡・解体費が高い場合 1,500,000円 14,000円 548,000円 2,062,000円

滅失登記の費用は、上の総額に含めていません。調査士に頼むなら、約5万円を足してください。

解体費の相場は、建物の構造や立地で大きく動きます。見積もりを複数社で比べておくと、総額の見通しが立てやすくなります。解体工事の適正価格がわかる「解体工事比較ナビ」

更地にすると、住宅用地の特例が外れる点にも注意が必要です。HOME4Uの試算例では、170㎡の土地で固定資産税が約70,000円から約294,000円と、約4.2倍になっています。実際の税額は自治体の課税で決まります。

申請前に確認したい「不承認」と運用実績

解体して更地にしても、審査で承認されない土地があります。たとえば、勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖がある土地や、地上・地下に除去すべき有体物がある土地、隣接地所有者との争いがなければ管理できない土地です。

解体後は、基礎や浄化槽、井戸、庭石、ブロック塀などが残りがちです。これらが「有体物」に当たるかは個別判断のため、解体前に法務局へ確認してください。相談は事前予約制です。

法務省の速報値(2026年8月31日現在)では、申請は5,997件、帰属は3,119件で、約52%です。却下は85件、不承認は100件でした。取下げは1,139件で、そのうち586件(約51%)が「有効活用の見込みが生じた」ためです。申請の前に売る、貸すといった出口を確かめた人が多いと読めますが、理由は申請者の申告による分類で、因果までは分かりません。割合は編集部の計算です。

国庫帰属のほかに、まず比べておきたい出口

国庫帰属は、売れない、貸せない場合の最後の手段として考えるのが現実的です。売却できれば、負担金は不要です。

古家付きのまま売れば解体費も要りません。解体して売るか、古家付きで売るかは解体して更地で売るか古家付きで売るかの費用と税金の比較で整理しています。売れずに困っている場合の出口は売れない空き家の5つの出口にあります。

相続放棄は財産全体が対象で、原則として相続開始から3か月の熟慮期間があります。国庫帰属は土地だけを選べますが、建物付きは申請できず、金銭の負担があります。相続放棄をしたら空き家の管理義務はどうなるかも確認しておくと、選び方に迷いにくくなります。相続登記が未了の場合の扱いは、相続登記の期限と相続人申告登記を先に確かめてください。

訪問査定にも限界があります。査定額は、買い手が実際につく価格を保証するものではありません。農地や山林が中心の土地、または売却の予定が最初からない方には、この記事の計算も査定も向きません。法務局の案内で、別の算定表を確認してください。

査定を申し込むときは、費用やキャンセルの条件を申込画面の案内で先に確認してください。実家の問題全体は空き家・実家じまいの記事一覧からたどれます。

よくある質問

相続土地国庫帰属制度の負担金はいくらですか?

市街化区域内の宅地は面積で決まり、100㎡で548,000円、200㎡で793,000円です(編集部が条文の式で計算)。市街化区域の外にある宅地は、面積にかかわらず20万円です。別途、審査手数料が一筆14,000円かかります。

建物が残ったままでも申請できますか?

できません。建物がある土地は、申請自体が却下される対象です。実家を解体して更地にし、そのうえで申請します。解体後は、基礎や井戸などの残置物が不承認の理由になり得るため、事前に法務局へ確認してください。

審査に通らなかった場合、審査手数料は戻りますか?

戻りません。審査手数料の14,000円は、却下や不承認になっても返還されません。負担金は承認後の納付なので、承認されなければ負担金は発生しません。なお、税務上の扱いは税務署や税理士に確認してください。

次の一手

実家をどうするか決めきれないのは、親の家を大切に思っているからです。手放す方法を調べ始めたこと自体、前に進んでいる証拠です。急いで決める必要はありません。

今日やることは一つだけです。固定資産税の納税通知書を取り出し、土地の面積を確かめてください。そのうえで、この記事の表から、自分の土地の負担金を当てはめてみましょう。市街化区域かどうかは、市区町村の都市計画課で聞けます。

国に引き渡す前に、売ったときの値段も知っておくと、判断の軸が増えます。物件の無料売却査定(訪問査定)を申し込む

決めるのは今日でなくて構いません。ただ、「いつまでに面積と区域を確かめるか」だけは、今日カレンダーに書き込んでください。

この記事の条件を自分の数字で計算する

参考資料