退職日は月末と月中どちらが得?社会保険料が1日違いで変わる仕組みと選び方

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退職日をいつにするか、カレンダーを眺めたまま手が止まっていませんか。「月末まで働くほうが得」「月中のほうが保険料が浮く」と人によって言うことが違い、余計に決めにくくなります。迷うのは自然なことです。社会保険は、退職日の1日違いで退職月の保険料が丸ごと発生するかどうかが分かれます。

ただし、社保がかからない月が「ゼロ円の月」とは限りません。保険料がいつの月分まで請求されるのか、その数え方を法令と公的機関の案内に沿って整理します。

この記事の結論

月末と月中のどちらが得かは一概には言えません。月中退職は退職月の健康保険・厚生年金が不要になる反面、同じ月から国保と国民年金の請求が始まるためです。

  • 資格喪失日は「退職日の翌日」で、保険料は喪失日が属する月の前月分までかかる
  • 差が出るのは、賞与の有無、転職先の入社日、お住まいの自治体の国保料
  • 今日やることは、退職日の候補を2〜3個書き出すことだけ

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社会保険の月は「退職日の翌日」で決まる

資格を失う日は退職日の翌日です。厚生年金保険法第14条と健康保険法第36条が、使用されなくなった日の翌日に資格を喪失すると定めています。

保険料は「資格喪失日が属する月の前月分まで」かかります(健康保険法第156条第3項)。日本年金機構のFAQも、月の途中で退職すれば喪失日の属する月の前月分まで、月末に退職すれば翌月1日が喪失日になるため退職月分まで納める、と説明しています。数えられるのは最終出勤日ではなく在籍する最終日です。有休消化中も在籍していれば被保険者のままです。有休を含めた退職日の決め方は退職前の有休消化の進め方にあります。

月末退職と月中退職を並べて比べる

1日ずらすだけで、退職月分の健康保険・厚生年金が発生するかどうかが分かれます。一次情報から編集部が整理した表です。

退職日(例) 資格喪失日 会社の社保の最終月 退職月分の社保
2026年10月31日(月末) 11月1日 10月分 払う(本人と会社で折半)
2026年10月30日(月末の前日) 10月31日 9月分 払わない
2026年10月15日(月中) 10月16日 9月分 払わない

保険料以外の違いもあります。厚生年金の被保険者期間は、取得した月から喪失した月の前月までです(厚生年金保険法第19条第1項)。月末退職は喪失月が翌月になるため、退職月が厚生年金の期間に加わります。月中退職の場合、その月は国民年金第1号の期間です(国民年金法第11条)。この1か月が将来の年金額をどれだけ変えるかは、確認できた資料の範囲では金額を示せません。

月中退職で始まる国保・国民年金と手続きの期限

月中に辞めると退職月の社保は不要になりますが、同じ月から別の請求が始まります。国民年金は2026年度で月額17,920円です(日本年金機構)。国民健康保険は日割りにしない自治体が一般的で、たとえば葛飾区は、月の最終日に加入しても1か月分と案内しています。運用は自治体で異なり、国保料の金額も自治体や前年所得で変わるため、ここでは示せません。

手続きの期限は次のとおりです。

  • 国民年金の種別変更と国保の加入届は、退職日の翌日から14日以内に市区町村へ
  • 協会けんぽの任意継続は、退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝なら翌営業日)。退職日までの被保険者期間が継続して2か月以上必要

10月31日退職なら、14日目は11月14日(土)、任意継続の20日目は11月20日(金)です。10月15日退職なら、14日目は10月29日(木)、20日目は11月4日(水)です。14日目が閉庁日にあたる場合の扱いは確認できなかったため、早めの手続きが安全です。任意継続と国保の優劣は任意継続と国保の年間保険料の比較で月給別に見られます。

仮の数字で見る月末と月中の差

以下は編集部が計算した仮の例で、実際の金額ではありません。前提は協会けんぽ東京支部、令和8年度、40歳未満(介護保険料なし)、標準報酬月額30万円です。料額表の本人負担は、健康保険14,775円、子ども・子育て支援金345円、厚生年金27,450円で、合計42,570円です。

  • 月末退職(10月31日):10月分として本人負担42,570円が発生します。会社負担も同額が別に拠出されます
  • 月中退職(10月15日):10月分の社保は不要です。かわりに国民年金17,920円と、自治体によっては国保料1か月分が必要です

42,570円から17,920円を引いた24,650円より国保1か月分が低ければ、月中退職のほうが手元に残りやすい、という式は立てられます。ただし国保料は今回確認できていません。月末退職の42,570円は厚生年金の期間が1か月加わる対価でもあり、月中退職の1か月は基礎年金のみの期間です。手元に残る額と将来の年金の両方で見る必要があり、どちらかが必ず得とは言えません。

退職月に賞与が出るときの違い

日本年金機構は、退職月に支給する賞与は、月末退職の場合を除き保険料控除の対象にならないと案内しています。仮の例(同じ前提)で賞与60万円なら、本人負担は健康保険29,550円、支援金690円、厚生年金54,900円の計85,140円です。月末退職ならこの額が賞与から控除され得て、月中退職なら不要です。ただし賞与の支給日や在籍要件は就業規則しだいです。月中に辞めて賞与自体が出なくなるなら、節約より失う額のほうが大きくなります。

住民税・失業保険・傷病手当金への影響

住民税は退職した「月」で払い方が決まる仕組みで、月末か月中かで分けた記述は確認できませんでした。詳しくは退職後の住民税の払い方と金額にあります。失業保険の被保険者期間は離職日から1か月ごとに数えるため(厚生労働省)、月末が基準にはなりません。給付の流れは失業保険はいつから・いくらもらえるかをご覧ください。

注意が必要なのは傷病手当金です。退職後も受けるには、資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に出勤していないことが条件です。入社から1年前後の方は、退職日が1日違うだけで届くかが変わり得ます。条件は退職後に傷病手当金を受け続ける条件で確認してください。

どちらを選ぶか:向く人の目安

月末退職が向きやすいのは、退職月に賞与が出る人、退職月まで厚生年金の期間を延ばしたい人、転職先の入社日が翌月1日で空白を作りたくない人です。月中退職が向きやすいのは、国保と国民年金のほうが退職月分の社保より安く済むと調べて分かった人です。扶養に入る、すぐ転職するなら前提が変わります。勤務先の人事・総務、年金事務所、市区町村の窓口で自分の数字を聞くのが確実です。

退職後のお金の流れと手続きの期限は、退職後の手続きと収入のカレンダーで確認できます。候補日ごとに見比べる材料にしてください。退職日を自分で伝えられる方に、代行サービスは必要ありません。

よくある質問

月の途中で退職したら、その月の社会保険料は払わなくていいですか?

退職月分の健康保険・厚生年金は不要です。資格喪失日が退職日の翌日となり、保険料は喪失日が属する月の前月分までだからです。ただし同じ月から国民年金と国保(または任意継続)の請求が始まります。

月末に退職すると、保険料が余計にかかりますか?

月末退職は翌月1日が資格喪失日となるため、退職月分の保険料が必要です。給与の締め日によっては、退職時の給与から前月分と当月分の2か月分が控除されることもあります。退職月は厚生年金の期間にも加わります。

国保や任意継続はいつまでに手続きすればよいですか?

国保と国民年金は退職日の翌日から14日以内、任意継続は退職日の翌日から20日以内(土日祝の場合は翌営業日)です。任意継続は、退職日までの健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ないと使えません。

次の一手

早く決めなかった自分を責める必要はありません。制度が月単位で複雑にできているのですから、迷うのは当然です。今日やるのは、退職日の候補を2〜3個メモすることだけです。人事・総務に退職月の賞与と保険料の扱いを聞き、国保料は市区町村の窓口で確認します。決めるのは「いつまでにこの確認を終えるか」だけで十分です。

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参考資料